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前々回は「五十肩」、前回は「石灰沈着性腱板炎」と肩の疾患についてお話ししてきました。

 

引き続き今回は、中高年に好発しやすくて五十肩との鑑別も必要になる

 

「肩腱板損傷(かたけんばんそんしょう)」

 

という疾患について話してゆきます。特に、「手術を選択すべきかリハビリで頑張るべきか」という点について詳しく解説します。

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肩腱板損傷

肩には「回旋腱板(かいせんけんばん)」という筋肉の集合体がありますが、その回旋腱板の末端部分が、部分的あるいは完全に断裂してしまうのが

 

「肩腱板損傷」

 

です。転倒などの外傷によって「急激に発症する」場合と、経年劣化で徐々に「いつの間にか発症する」場合とがあります。

 

回旋腱板末端部の腱は、肩甲骨と上腕骨の間にはさまれて常に摩擦が生じている為に、経年劣化や外力によって損傷を受けやすいのです。

 

この疾患は中年期以降に多く見受けられ、男女比ではやや男性に多い傾向があります。

 

 

肩腱板損傷の症状

「拳上(バンザイ)が出来ない」事が主たる症状です。

 

五十肩のようにあっちもこっちも動かせないという事はなく、ほとんどの方は「バンザイが出来ない」と言って来院されます。

 

ただし、自力ではバンザイが出来ないけれど、他人が支えてあげたり反対の手で支えてあげると、簡単にバンザイが出来るというのも特徴的なサインです。

 

スポーツ中の衝撃や、転倒して肩を強打した際などによく発生する傾向にあります。

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肩腱板損傷の治療は手術かリハビリ

上記のように特徴的な訴えが見られる事から、診断や五十肩との鑑別は比較的かんたんではありますが、損傷の程度を詳しく知るためにはMRI検査が必須です。

 

特にスポーツをしている方は、復帰の計画を立てるためにも損傷の程度を正しく把握しておかなければいけません。

肩腱板の部分断裂

部分断裂の場合は、原則的に「保存療法(外科的処置を行わない)」となります。

 

強い痛みが落ち着くまでは「安静」にして、なるべく家事や労働やスポーツは控えめにするようにしてください。

 

軽症なら固定の必要はありませんが、痛みが強く日常生活に支障がある場合は、三角巾などで腕を吊って肩への負荷を減らしてあげましょう。

 

バンザイ動作にて「鋭い痛みを感じる」場合や「じっとしていても痛む」ような場合には、医師に鎮痛剤や湿布を処方してもらうと良いです。

 

病院の選び方は以下を参考にどうぞ。

 

「肩の痛みは何科に行けば良い!?4つの選択肢から選ぼう!!」

 

鋭い痛みが落ち着くまでは、とにかく安静を守ることが重要です。期間としてはおおよそ6か月程度は見ておいた方が良いでしょう。

 

日常生活に必要な動作で使用するのは仕方ないにしても、必要以上にスポーツや仕事で酷使すると、傷口が拡がり悪化する事もありますので気をつけてください。

 

鋭い痛みが落ち着いてきたらまずはストレッチから始めてゆき、徐々に筋肉トレーニングで患部の柔軟性や耐久性を高めてゆくと良いです。

 

まずは「ストレッチ」の動画。

 

 

次に「筋トレ」の動画。

 

 

この動画では10㎏程度のダンベルを使用していますが、いきなりそんな無理をしてはいけません。最初は1㎏程度の軽いダンベルからで充分です。

 

まずは動かす事から慣れてゆき、次第に負荷を上げながら患部の反応をよく確かめつつ、最終的には10㎏程度のダンベル体操で筋力強化へとつなげてゆきましょう。

 

より詳細な方法を知りたい方は、お近くの「医師・柔道整復師・理学療法士」等によく相談してみましょう。

肩腱板の完全断裂

完全断裂の場合は、原則的に「再建手術」の適応となる場合が多いです。

 

状況により術式は変わりますが、最終的な結果は「保存療法(手術をしない)」とあまり変わらないという意見もあり、手術の是非は検討の余地がありそうです。

 

ただし仕事などで早期に復帰せざるを得ない方の場合、「手術を選択した方がリハビリなどもじっくり受けられるので回復が早い」傾向にはあります。

 

また、高齢であまり肩を使用する必要が無い方などでは、本人の意思で手術を拒否される患者さんもおられます。

 

このあたりの判断基準は最終的には患者様自身の考えにもよりますので、よくメリットとデメリットを説明してもらった上で最終判断を下しましょう。

 

私個人の見解としては

 

「仕事やスポーツの関係で早期に回復したい場合は手術」

 

「それ以外の方は保存療法」

 

で行くのが良いと考えています。

 

以上。腱板断裂の話でした。

 

腱板断裂のほとんどは部分断裂でありますが、残念ながら腱板断裂部は血流が乏しいために、完全に元に戻るという事はありません。

 

しかし、残った組織をいかに温存するか、そして周りの筋肉を鍛えて弱さをどれだけ補うかに焦点する事で、日常生活に支障がないまでの回復は充分可能です。

 

またスポーツ競技への復帰も十分に検討が可能ですので、決して最後まであきらめないでくださいね。

まとめ

*肩腱板損傷は、回旋腱板が部分的あるいは完全に断裂する病態。

*肩腱板損傷は、自力での拳上(バンザイ)が出来なくなる。

*部分断裂では、残った組織の温存と周辺組織の強化が鍵になる。

*完全断裂では原則手術が適応ではあるものの、検討の余地がある。

*手術なしでも70%~80%程度の回復なら可能。

*ツボは「肩の前側の痛みにはH1とH2・横側にはH5とH6・後側にはH3とH4」が有効。詳しくは「井穴刺絡!万病に効くツボ治療決定版!!」を参照。

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