前回までは、日本人が経験する日常的な3大頭痛と言われる、「片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛」についてお話ししてきましたが、今回お話しするのは

 

「危険な病気の兆候となる頭痛」

 

についてです。日常的に私たちが体験する3大頭痛は、ほとんど生命には影響がない頭痛なのですが、だからと言って油断してはいけません。

 

中には単なる片頭痛や緊張型頭痛と思っていても、その頭痛が、実は危険な病気の前兆であるという場合もあるのです。

 

万が一このような頭痛が起こった場合、放置して重大な事態とならない為にも、ぜひ危険な頭痛の存在というものを知っておきましょう。

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細菌性髄膜炎

詳細は「細菌性髄膜炎の怖さ!髄膜刺激症状を見逃すな!」をご覧ください。

 

髄膜炎には「ウイルス性」と「細菌性」とがあるのですが、特に怖いのが「細菌性髄膜炎」です。

 

「肺炎球菌」や「インフルエンザ菌」などの細菌によって発症する疾患で、乳幼児に多く見られ、残念ながら重篤な後遺症や一定の致死率がある怖い疾患です。

 

病態としては、脳脊髄を保護する「髄膜」という膜が炎症を起こすもので

 

「高熱・頭痛・意識障害・嘔吐・頚部硬直(痛くて首を前に倒せない)」

 

などの症状が出てきます。特に、頭痛と共に頚部硬直を起こすことを「髄膜刺激兆候」と呼び、細菌性髄膜炎を示す危険な兆候であります。

 

このサインが現れた時は、直ちに救急専門医などの診断治療を仰ぐ必要があります。

 

治し方は点滴による抗生物質の大量投与が一般的で、同時に原因菌の特定検査も行われます。治療は一刻を争いますので、出来るだけ早く兆候に気付きたいものです。

 

なお、細菌性髄膜炎については予防接種が検討できます。

 

乳幼児は他にも受けるべき予防接種がたくさんありますが、出来るだけ早期に受けておきたい予防接種ですので、よく小児科医と相談されて早めに接種しておきましょう。

脳腫瘍

脳腫瘍とは「頭蓋内に腫瘍ができる」病態で、頭蓋自身の原因で発生する「原発性脳腫瘍」と、他臓器からの転移で発生する「転移性脳腫瘍」があります。

 

脳腫瘍で頭痛が起こる原因は、腫瘍が増大化して周りの組織を圧迫し、頭蓋内部の圧力が高まる「頭蓋内圧亢進」によるものです。脳腫瘍の頭痛は

 

「朝の起床時に強い痛みを感じる」

 

のが特徴的です。ただ私も経験がありますが、片頭痛や緊張型頭痛の方は、起床時に強めの痛みを感じることがありますので、それだけで直ちに脳腫瘍だとは断定できません。

 

その他に現れる症状としては

 

「突発的な噴水様の嘔吐・視覚異常・ひきつけ・言語の乱れ・妊娠中でもないのに乳汁が分泌する」

 

などの症状が見られる事がありますので注意しておいてください。

 

脳腫瘍は基本的に手術の適応です。

 

進行が認められないような場合は経過観察だけで済む方もおられますが、頭蓋内圧の亢進症状や進行が認められるような場合には、手術による治療が検討されます。

くも膜下出血

脳を保護する膜には内側から「軟膜・くも膜・硬膜」と3層あるのですが、このうち、くも膜の下に大出血を起こす病態が「くも膜下出血」です。

 

くも膜下は、比較的太い血管が走行して脳脊髄液なども流れているために、ここで出血が起こると重大な事態へと陥ります。発症の際には

 

「バットで打たれたような非常に強い衝撃」

 

を頭部に感じると言われており、実際私の患者さんでくも膜下出血を経験した方の話では、「運ばれる最中も割れそうなぐらい痛かった」と述懐しておられました。

 

激しく嘔吐したり意識を失ったりもしますので

 

「激しい頭痛を訴えたのちに意識を失ったような場合」

 

にはこの疾患が真っ先に疑われます。なお、脳梗塞のような手足の麻痺症状は通常見られないようです。

 

治し方は、「再出血予防の手術」と「くも膜下出血自体の手術」が併用されるケースが多いです。

 

くも膜下出血の大半の原因は「脳動脈瘤」というコブの破裂が原因ですが、くも膜下出血後はこの部位からの再出血の可能性が高く、そうなると生命の危機が高まります。

 

よって、まずは再出血の可能性を軽減する処置をした上で、その後に、くも膜下出血自体の処置手術へと移行するケースが多いようです。

 

なお、発症から2週間程度は「脳梗塞」の合併率が高く予断を許しません。

 

くも膜下出血に脳梗塞が合併すると非常に重篤な状態へと陥りますので、経験豊富な医療機関での処置観察が望まれます。

慢性硬膜下血腫

脳を保護する膜は、内側から「軟膜・くも膜・硬膜」と3層あると言いましたが、このうち、硬膜の下に出血を起こす病態が「慢性硬膜下血腫」です。

 

頭を打った後などに、時間をかけて徐々に硬膜の下に血液が貯留されて行く病態で、多くは高齢者に発症します。

 

「たんこぶ」が出来るような強い打ち方ではなく、軽く打ったような場合の方が発症率は高くなり、頭を打ってから約1か月ぐらいかけて症状が進行する場合が多いです。

 

症状は、急激というよりは徐々に発現してくることが大半で

 

「頭痛・物忘れ・手足の運動麻痺・排泄の不具合が多くなる」

 

などの症状が出てきます。よって、高齢者が頭を打ってからの1~2ヶ月間は注意深く行動などを観察しておく必要があります。

 

治し方は「手術による貯留血液の抜去」です。一般には大きく開頭する必要はなく、部分麻酔で小さな穴をあける術式で済むようです。

 

予後は基本的に良好ですが、あまりにも発見が遅れたような場合には大きな手術による治療が必要になる事もあります。

 

以上。代表的な病的頭痛を紹介しました。

 

これら以外にもたくさん頭痛を呈す病気はあるのですが、ここに挙げた疾患は、比較的身近で遭遇する確率が高い疾患ですから、最低限知っておきたい病的頭痛です。

 

私はかねがね、内科のように脳神経外科でもかかりつけ医を作るように患者さんに進めています。

 

脳の疾患は後遺症などで非常に苦しむ可能性がある分野ですから、ぜひ脳神経外科医との関係を構築しておく事をおすすめしたいと思います。

まとめ

*3大頭痛以外にも、危険で病的な頭痛が存在する。

*細菌性髄膜炎は、乳幼児に多い危険な疾患。予防接種の検討を。

*脳腫瘍は、頭蓋内圧亢進症状に気を付けるべし。

*くも膜下出血は、突然の強力な衝撃と頭痛で始まる。予後不良な疾患。

*慢性硬膜下血腫は、頭を打った後に徐々に進行する疾患。高齢者に多い。

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