前回に続いて皮膚の話をします。

 

「アトピー性皮膚炎」

 

という有名な病気がありますね。皆さまもよくご存じの事でしょう。

 

そして、アトピー性皮膚炎の治療において必ずと言って良いほど論争になるのが、

 

「ステロイド薬」

 

使用の是非です。

 

「ステロイドは副作用が強いから使うな」という人と、「正しく使えば副作用はコントロールできる」という人と、いつの時代も賛否両論あります。

 

果たしてアトピー性皮膚炎の治療において、ステロイド薬とはどのように付き合ってゆくべきなのでしょうか。今回は、そのあたりに迫ってみたいと思います。

 

今日は、「アトピー性皮膚炎とステロイド」の話です。

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アトピー性皮膚炎

「アトピー性皮膚炎」は、寛解と増悪を繰り返しながら慢性に経過する、非常に強いかゆみを伴う湿疹症状の事を指します。

 

アトピー性皮膚炎の病態は、皮膚の「バリア機能(角層の状態)」と「乾燥」における異常反応であり、そこへアレルギー素因や生活習慣の影響などが複雑に絡みあって発症するものです。

 

特に、アレルギー素因は多くの患者さんに共通する事項であり、たいていは「アレルギー性鼻炎・喘息・膠原病」など、他のアレルギー性疾患を持っている場合が多い傾向にあります。

 

また本人が持っていなくても、親や兄弟がアレルギー体質であるなど、家族歴を見ていると何らかアレルギーと関係する要素が見られるものです。

 

症状としてもっとも辛いのは「かゆみ」です。とにかく四六時中かゆいので、勉強や仕事に集中できず、酷い場合には、睡眠障害を起こすような強いかゆみに曝される時もあります。

 

掻いた場所が傷になると当然出血なども起こってくるので、そのケアが大変であり、人前に出るのが億劫になったり外出自体をしなくなったりと、日常生活にも大きな影響を及ぼす疾患です。

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ステロイドを止めれば治るのか

さて、冒頭でも述べましたように、アトピー性皮膚炎を治療してゆくに当たっては、「ステロイド賛成派」と「ステロイド反対派」が混在します。

 

では、まず私の結論から申し上げましょう。

 

私はアトピー性皮膚炎の治療に対して、「ステロイド薬を使用すべき」だと考えています。なぜなら、その方が患者さんの苦痛が圧倒的に少ないからです。

 

民間治療とか自然治療とかを信奉する方は、「ステロイドは害ばかり」とか、「ステロイドを止めてリバウンドに耐えれば治る」とか言われますが、果たしてそうでしょうか。

 

そもそも考えてみて欲しいのですが、ステロイドを使用したからアトピー性皮膚炎になったのでしょうか。違いますよね。アトピー性皮膚炎になったからステロイドを使用したわけです。

 

アトピー性皮膚炎の原因はステロイドではなく、皮膚自体の異常反応にアレルギー体質や生活習慣が絡み合ったものなのです。

 

なので、「正しくステロイド薬を使用」して苦痛を緩めてあげながら、それと併行してアトピーの原因部分も改善させてゆく。

 

それこそが、正しいアトピー治療の在り方だと私は思うのです。

 

現に、そのように原因部分を改善してゆく努力をしている方は、アトピー性皮膚炎自体の原因が減少してゆきますから、無理してステロイドを止めるまでもなく、自然にステロイドから離脱してゆきます。

 

「ステロイドを止めたから治ったのではなく、治ったからステロイドを止めれた」のです。

 

確かに内服のステロイド薬ならば、使用法によっては強い副作用が起こり得ます。

 

でも、アトピー性皮膚炎の治療における外用ステロイド薬はしっかりとガイドラインが確立されていますので、それほど心配するには及びません。

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アトピー性皮膚炎の治療

まずは、ステロイド薬の使い方を熟知した皮膚科医に診断治療を委ねましょう。そして、処方された薬を正しく使用してゆきます。

 

間違っても、勝手な自己判断で途中で放棄するのは止めましょう。

 

また、「ステロイドは体に良くないから出さないで治してくれ」と難題を言って、医師との信頼関係を壊すような事は止めましょう。

 

正しくステロイド薬を使用しながら、その上で、アトピーの原因部分の改善に着手してゆく事が大切です。

 

<皮膚の異常反応>

皮膚の異常反応を改善する為にはバリア機能の修復と乾燥対策が大事になりますが、これは前回の記事でも書いたように、「ヘパリン類似物質」が優れた効果を発揮します。

 

おそらく、ステロイドと同時にそのような保湿剤も処方されるとは思いますが、万が一出なかった場合は、市販薬の中でそのような種類の保湿剤を選択されても良いでしょう。

 

ただし、反応を確かめながら慎重に使ってくださいね。

 

また、皮膚に傷を作らない事が大事ですから、「爪を切って研いでおく」事も必須です。

 

<アレルギー素因>

アレルギー体質が根本に存在すると考えられますので、この部分も改善してゆきたいですね。

 

アレルギー体質の改善には「自律神経」の調整が必要になります。これには、度々このブログで紹介している「ツボ治療」が取り組みやすいですから、ぜひ実践して頂きたいものです。

 

「関衝 別名:H5」

「竅陰 別名:F5」

 

この2点を重点的に治療しましょう。詳しくは「井穴刺絡!万病に効くツボ治療決定版!?」をご覧ください。

 

<生活習慣>

まずは「嗜好品」を止めること。特に「喫煙」は何も良い事がありませんから、完全に止めたいですね。

 

それからやはり「食事」でしょう。食事からの栄養分で体は構成されていますから、この部分の改善に着手する事は外せません。

 

「甘いもの」は副交感神経を興奮させてかゆみを助長しやすいですから、なるだけなら制限しましょう。また甘くなくても、「米・パン・麺類などの糖質」も同様に控え気味にしましょう。

 

皮膚の乾燥を防ぐと言う意味では、良質な「脂質」も適度に摂りたいですね。「オメガ3脂肪酸(エゴマ油やアマニ油)」が良いので、出来るだけ毎日摂りましょう(1日小スプーン1~2杯ほど)。

 

あとは、「皮膚を洗いすぎない」事も大事です。

 

擦り過ぎはもちろんの事、ボディソープやシャンプーなどは皮膚の油分をごっそり持って行ってしまうので、それほど汚れていないならば、お湯だけで丁寧に洗う方が良いのです。

 

このようにアトピー性皮膚炎の治療は、「ステロイドによる治療」と「自己努力による原因部分への着手」が合わさって、始めて改善へ導かれてゆくという事をお忘れにならないでください。

 

以上。アトピー性皮膚炎とステロイドの話でした。

 

今日の話はかなり私見を含んではいますが、アトピーの患者さんともお付き合いをして来ましたし、信頼できる医師と交わってきた経験からも、あながち間違った事は言っていないと思います。

 

あなたのアトピー性皮膚炎が改善される事を、心より願っています。

まとめ

*アトピー性皮膚炎は、皮膚の「バリア機能(角層の状態)」と「乾燥」における異常な反応。

*そこに、アレルギー素因や生活習慣の影響などが複雑に絡みながら発症する。

*ステロイドを正しく使用すべき。リバウンドの苦しみを好転反応という文句で惑わされてはいけない。

*ステロイド悪役説に惑わされて、勝手に増減したり医師に噛みついたりしてはいけない。

*ただし、ステロイドは症状を抑えてくれるが根治法ではない。同時にアトピーの原因部分への着手を。

*皮膚の異常反応、アレルギー体質、生活習慣。これらの改善に取り組んで、初めて根治への道が開ける。

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