腰痛持ちの方には辛い時期の到来です。

 

寒い冬と梅雨時は、例外なく腰痛患者さんは悪化傾向にありますが、中でもとりわけ強い症状を起こすのが

 

「腰椎椎間板ヘルニア」

 

の患者さんたちです。

 

腰椎椎間板ヘルニアは、腰の痛み以上に脚に痛みやしびれを引き起こすのが特徴的で、主に肉体労働の方や長距離ドライバーの方などに多く見受けられます。

 

ただこの腰椎椎間板ヘルニアに関しては、そのメカニズムなどにおいて一部誤解されている部分もあり、正しい知識を知っておかないと、治療上不利益を被る可能性もあります。

 

よって今回は、まず「腰椎椎間板ヘルニアの正しい知識」を理解して頂きながら、その後、セルフケアにおいて効果の高いストレッチを紹介してゆく事にしたいと思います。

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腰椎椎間板ヘルニアの概説

まずは、従来の「腰椎椎間板ヘルニア」の概念について紹介しましょう。背骨の1個1個の骨の間には

 

「椎間板」

 

というクッションの役割を果たす組織があります。そして椎間板の中心には

 

「髄核」

 

という芯のような組織が存在します。この髄核が飛び出して神経を圧迫する事で

 

「腰から下肢にかけて痛みやしびれ」

 

が発現するという考え方が、従来の腰椎椎間板ヘルニアの概念です。ただ、私はこの概念に疑問を持っています。

 

と言うのも、画像上そのような腰椎の変形が見られても、まったく腰痛などを訴えない方が多くいるという事。

 

また反対に、画像上ではとても綺麗な骨格なのに、非常に強い腰痛を訴える方も多くいるという現実がある為です。早い話が

 

「画像上の所見と実際の自覚症状とが必ずしも一致しない」

 

ケースが多いのです。

 

また、手術によって神経の圧迫を切除したはずなのに痛みが取れない方がいるという現実からも、痛みやしびれが神経の圧迫から来るという考えには疑問符を投げかけざるを得ません。

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腰椎椎間板ヘルニアの原因

では、腰椎椎間板ヘルニアにおける「痛みやしびれの真の原因」とは何なのでしょうか。その答えは

 

「筋肉」

 

にあると私は考えています。実は最新の研究で、神経が圧迫を受ける事で痛みやしびれが生じるという考えには、生理学的根拠が存在しない事が分かってきました。

 

そして正しくは

 

「神経が圧迫を受けると、痛みやしびれではなく運動麻痺が生じる」

 

というのが正しい生理学的根拠なのです。

 

ちなみに運動麻痺とは、「脚が上手く動かない・指が上手く動かない・温度の感覚が異常・排泄が上手くコントロール出来ない」など、そういった症状の事ですね。

 

だから、もし本当に神経の圧迫が存在するとしたら、少なくとも痛みやしびれより「運動麻痺の症状が先行する」はずなのです。

 

ところがたいていの患者さんを診ていると、痛みやしびれは訴えていても、運動麻痺の症状を訴える患者さんはほとんどいません。これは

 

「その痛みやしびれが神経の圧迫からではない」

 

という事の証明にもなる訳です。また、痛みを感知するセンサーの事を

 

「ポリモーダル受容器」

 

と呼ぶのですが、そのポリモーダル受容器は筋肉筋膜に豊富に存在しており、「椎間板や軟骨には存在しない」という事も分かってきています。

 

これらの事から理論上では

 

「椎間板や軟骨の変形で痛みが起こる事はあり得ない」

 

という結論になるのです。よって正しくは、

 

「筋肉が縮んで硬くなってしまう現象にポリモーダル受容器が反応して痛みやしびれを感じている」

 

というのが、椎間板ヘルニアの真相であると考えられるのです。

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腰椎椎間板ヘルニアのストレッチ

少し難しい話になりましたがご理解いただけたでしょうか。

 

要は、病院で「腰椎椎間板ヘルニア」と診断されたとしても、あなたの症状が

 

「痛みやしびれだけで運動麻痺を伴わない」

 

のならば、いきなり手術などの大きな賭けに出る必要はないという事です。

 

そして、神経ではなく筋肉が原因であるならば、努力次第では自分でも症状を改善させる事が可能です。その一つの手段として

 

「ストレッチ」

 

が大変有効です。ただ一口にストレッチと言っても、様々なストレッチが世に出回っているので、いったいどんなストレッチを選択すれば良いのか迷ってしまいますね。

 

そこで私が強くお勧めしたいのは

 

「操体法(そうたいほう)」

 

というストレッチです。ストレッチとは書きましたが、実際には臨床上とても有効性の高い「治療法」でもあります。

 

操体法は、「故:橋本敬三医師」によって考案体系化された手技で、現在でも多くの臨床家が実践の場で取り入れている、大変理に叶った治療法です。

 

操体法は、橋本先生を始め多くの先生方によって啓蒙活動が行われてきたのでご存じの方もおられるかもしれませんが、以下にその要点をまとめてみたいと思います。

 

<痛くない動きを強調すること>

一般的にストレッチというと、「硬い動作や痛い動作を頑張る」というイメージを持たれているのではないかと思います。

 

しかし操体法ではその逆を行きます。すなわち

 

「痛くない動きを強調してゆく」

 

のです。なぜ痛くない動きを強調するかというと、体の自然治癒力を最大限引き出すためです。

 

体の反応に素直に従うならば、痛い動きというのは「その動きは危険だよ」と脳が訴えているわけですよね。なのに痛い動きを強調するという行為は、そのSOSに逆らう事になります。

 

事実、「痛い動きを頑張るほどかえって痛みが強くなる」という事例は枚挙に暇がありません。

 

なので、痛くない動きを繰り返して脳を安心させ、そこから発しているSOSサインを解除させる方が、体にとっても副作用が少なく、かつ自然治癒力を最大限引き出せるという事なのです。

 

<脱力に重きをおくこと>

体の痛みを改善する時に、「筋肉を鍛えよう」という言葉をよく聞きますね。

 

しかしこれは危険です。

 

体が痛い方は、上でも書いたように「筋肉が固まって縮んでいる状態」です。その状態でさらに負荷をかけて筋肉を固める筋トレを行うというのは、どう考えても理に叶っていません。

 

「筋トレは体が痛くない健康体の方がやるべき行為」

 

であって、体が痛い方が無理して行うべき行為では絶対にありません。操体法ではそのあたりも考慮されています。

 

操体法は、頑張ってグイグイ動かすのではなく、ゆったりと気持ちよく動かして体をリラックスさせ、最後にダラーンと力を抜くような流れを重視します。

 

「脱力して筋肉を緩める」

 

というところに操体法はフォーカスしているのです。

 

「痛くない動きや気持ち良い動きを強調する」

 

「力みではなく脱力に重きをおく」

 

事の2点は、操体法の肝と言っても過言ではないでしょう。

 

動画などを見ていると、操体法は各先生方によってかなりやり方が違ったりしますが、根底での原理原則はこの2点が共通認識となっています。

 

ぜひこの2点を念頭に実践されてみてください。

 

今回は、「腰痛関連の操体法の中で最も基本的」な、しかし非常に効果の高い動作である

 

「膝倒し操法」

 

の動画を紹介します。この動画の先生のやり方が最も基本に近いように思います。操体法を初めて聞いたという方は、ぜひ参考にされてみてください。

 

以上。腰椎椎間板ヘルニアのストレッチの話でした。

 

知識の部分の話もしましたのでやや難しかったかもしれませんが、非常に大事な認識となります。

 

もし分からない点などありましたら、遠慮なく問合せフォームからお尋ねくださいね。

まとめ

*神経が圧迫されて痛みやしびれが起こるというのが、従来の椎間板ヘルニアに対する認識。

*しかし、神経が圧迫されると神経麻痺が生じるというのが正しく新しい認識である。

*痛みやしびれだけで運動麻痺が無いのならば、それは筋肉の硬さに原因があるという事。

*筋肉ならばセルフケアでも改善が可能。特にストレッチは有効な方法である。

*医師が考案した操体法というストレッチは、体の理に叶った大変有効な運動療法。

*痛くない動きを強調する事、力みでは無く脱力に重きをおく事、この2点が操体法のコツ。

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