漢方薬シリーズ第9回です。今回は、比較的高齢者の方に人気の高い漢方薬
「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」
について紹介します。芍薬甘草湯は、漢方薬の中では唯一「痛みに特化した漢方薬」と言っても過言ではないでしょう。
今回の記事は、体の痛み全般でお悩みの方、特にケイレン性の痛みなどでお困りの方にお役に立てる内容となっていますので、ぜひ参考にされてください。
目次
①芍薬甘草湯
「芍薬甘草湯」は年配者に人気の高い漢方薬で、「こむら返り(脚のつり)」や「筋肉けいれん」などの体の痛みを改善する目的で使用される漢方薬です。
またその他にも、「胃けいれん・胆石・尿路結石等」の痛みを改善する目的でも使用されています。
いわば、通常の鎮痛薬に代わって処方される事が多い漢方薬であります。
芍薬甘草湯は「芍薬・甘草」の生薬から構成されており、その薬理上、「体力の程度にはあまり関係なく万人向けの漢方薬」となっています。
②芍薬甘草湯の効能
芍薬甘草湯は西洋薬で言うところの「鎮痛剤」のようなもので、漢方の中では珍しく
「痛みに特化した漢方薬」
であると言えます。よって、体の痛みに対して万遍なく効果が期待できますが、その中でもとりわけ効果が強く期待できるのが
「脚がつった時の痛み・胃けいれんの痛み・腹痛・胆石や尿路結石による疝痛(せんつう)・筋肉のこわばりやけいれん性の痛み」
などです。また、「慢性の肩痛・腰痛・生理痛」などにも効果を発揮する場合が多いですね。
以下に、各成分ごとの効能を列記しておきますので、ぜひ参考にされてください。
芍薬(しゃくやく)
気の道や血の道を補う作用
甘草(かんぞう)
気を補う作用
③芍薬甘草湯服用時の注意点
芍薬甘草湯は、比較的大きな副作用が出にくい漢方薬と言われています。つきましては、比較的体力が低下気味の方などでも服用することに問題はないでしょう。
ただし、他の漢方薬と同様に以下のような注意点はあります。
甘草配合の漢方薬
甘草が配合されている他の漢方薬との飲み合わせには注意が必要です。
偽アルドステロン症
「血圧上昇・むくみ・手足のしびれ・ふるえ・脱力」などを伴う、「偽アルドステロン症」という副作用がごく稀に発生しますので、服用開始後は体調の変化に気を付けておいてください。
間質性肺炎
「空咳・息苦しさ・息切れ・発熱」などを伴う肺炎もごく稀に発生しますので、服用開始後は体調の変化に気を付けておいてください。
以上。芍薬甘草湯の話でした。
私の治療院で年配患者さんからの相談で最も多いのは、「夜間のこむら返りによる痛み」です。
なので私は、よほど「病的(糖尿病など)こむら返りではない」方に対しては、この芍薬甘草湯をおすすめする事にしています。
脚がつってから飲めば10~15分で効いてくる事が多いです。ただしその間がかなり痛いので、なるだけ「寝る前に服用しておく事」をおすすめします。
つまり予防として服用するのです。
また、通常の鎮痛薬などを服用するのにどうしても抵抗があるという方には、病院で芍薬甘草湯を処方してもらうようにアドバイスしています。
上手に使いこなせばかなり役に立ってくれる漢方薬ですから、中高年の方は家庭に常備しておくと良いのではないかと思います。
ただし、あまり長期で服用するのに適した漢方薬ではありません。
一定期間服用したら一度止めてみて、また症状の再発が見られそうならばまた服用を開始するというように、間隔を空けながら飲むのが良いでしょう。
自分で購入されたい方は以下からどうぞ。
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まとめ
*芍薬甘草湯は年配者に人気の高い漢方薬。
*こむら返り、筋肉けいれん、胃痛や腹痛、胆石や尿路結石などけいれん性の痛みに効能がある。
*比較的副作用が少ない部類の漢方薬なので、万人が服用しやすい漢方薬。
*あまり長期で使うと副作用のリスクが高まる。連用し過ぎない配慮も必要。
*通常の鎮痛剤の代わりと考えると良い。