一口に風邪と言っても様々な種類が存在していますが、今回紹介するのは

 

「麻疹(はしか)」

 

という非常に怖い疾患です。

 

風邪症候群に類する疾患ではありますが、非常に強力なウイルス疾患で、今日でも死亡例や重篤な後遺症が報告されるなど、絶対に侮ってはいけない疾患です。

 

生後初めて受ける公的予防接種はこの「麻疹の予防接種」である場合が多いのですが、それだけ要注意疾患である事の裏返しなのですよ。

 

近年では、大学生などの若者を中心に度々小流行が見られるようになっていて、決して油断は出来ませんね。

 

特に流行期としては「春」が危ないので、その警鐘も含めて「麻疹」の話をしておきたいと思います。

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麻疹

「麻疹(はしか)」とは「麻疹ウイルス」によって引き起こされる疾患です。

 

麻疹ウイルスは、例えば飛行機などの閉鎖された空間で感染者が一度くしゃみをしただけで、全員にそのウイルスが入り込むと言われるぐらい、感染力が非常に強いウイルスです。

 

発展途上国や免疫不全の方などでは、今でも死亡者が多発するぐらいとても怖いウイルス疾患でもあります。

 

今でこそ麻疹の怖さは昔のものであるような感覚ですが、昔は日本でも多くの死亡者を出してきた事を忘れてはいけません。

 

基本的に、予防接種を受けておけばたいていはそのまま一生感染する事はありません。

 

ただし近年では、予防接種によって上手く免疫が付かなかった方や、子どもに予防接種を受けさせておらず、成人してから感染する例なども多数報告されています。

 

よって、麻疹はすでに昔の病気だと侮ってはいけません。

 

麻疹の初期症状

麻疹の「初期症状」は、通常の風邪症候群とあまり変わりはありません。

 

ただし通常の風邪よりも重症感が強く、「目やに」や「結膜炎」が酷いような場合には、その時点で頭の中に麻疹の可能性を思い浮かべた方が良いでしょう。

 

そして極めつけの初期症状が

 

「コプリック斑」

 

という麻疹特有の症状です。コプリック斑とは口腔粘膜にできる白い斑点の事で、「麻疹特有の初期症状」です。

 

初期と言っても、発熱などの症状が起きてから2~3日後に出てくるので、見逃さないようにすることが大事ですね。

 

このコプリック斑が見られた場合は、直ちに小児科医に診断を仰ぐ必要があります。

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麻疹の症状経過

発症初期は、「発熱・鼻水・せき」などの通常の風邪症状と変わりません。

 

ただし上記でも書いたように、「目やに」や「充血(結膜炎)」が酷くて重症感が見られるような場合には、麻疹感染を念頭に置きましょう。

 

その後、口腔粘膜に「コプリック斑」が出現してくると麻疹の確定です。また、それと時を同じくして全身に「赤黒い発疹」も出現してきます。

 

発熱に関しては、「発熱3日後ぐらいに一旦下がりかけるが再度上昇してくる」という特有の発熱パターンが多いです。

 

その際は当初よりも高熱になる場合が多く、咳などの全身症状も一番ピークを迎えます。この時期が一番つらい時期で踏ん張りどころですね。

 

それから4~5日経過してようやく高熱が下がり始め、やっと麻疹の終焉が近づいてきます。

 

熱が完全に下がってもまだ発疹は残っている場合が多く、1~2週間かけて徐々に引いてゆきます。色素沈着を残しながら引いてゆくのがほとんどでしょう。

 

一度罹患しますと、基本的に再び罹患する事はありません。

 

全体の経過としては、「潜伏期10~12日・カタル期(通常の風邪症状)3~4日・発疹期4~5日・回復期3~4日」といった具合です。

 

いかに麻疹が非常に重篤で体力を消耗する疾患である事かお分かり頂けると思います。

麻疹の合併症

以下のような合併症に気をつけておきましょう。

肺炎

発疹が出始めてから4~5日経過しても高熱や咳が軽減しない場合、肺炎の合併を疑う必要があります。

中耳炎

耳を痛がる素振りがないか、耳から膿が流れていないか、よく観察しておく必要があります。

脳炎

けいれんや意識障害が見られる場合、脳炎を疑い直ちに救急車の出動を要請しましょう。

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麻疹の治療

基本的にウイルス疾患ですから、対症療法しかありません。残念ながら「ウイルスには抗生物質が効かない」のです。

 

苦しい症状を弱めてあげる処置を行いながら、脱水症に気を付けてひたすら回復期を待つ事になります。

 

あまりに高熱で苦しい場合は「解熱鎮痛剤」を使用する事も可能ですが、発熱は「ウイルスを駆除する為の免疫反応」でもある為に、本来はあまり下げない方が良いのです。

 

やみくもに発熱を下げると、かえって症状をこじらせる可能性があるという事は理解しておかなければいけません。

 

見ているのが辛いほど患者は苦しみますが、ここはとても大事な視点ですから、決して安易な解熱鎮痛薬の使用は行わないようにしましょう。

 

昔は、「麻疹は冷やすと良くない」という風習で部屋をガンガンに暖めていた時代があったようですが、今でも高齢者の方はそれを固く信じている方もいらっしゃるようです。

 

しかしこれは間違いです。

 

かえって熱が高くなって本人が苦しいだけです。麻疹であっても通常の風邪の処置と何ら変わりませんので、念のために書き留めておきます。

麻疹の予防

麻疹は非常に苦しい疾患ですから「予防」こそが肝心です。

 

1歳から「麻疹風疹混合ワクチン」の公的予防接種が可能ですから、誕生日を迎えたら真っ先に受けておきたいですね。

 

近年では2回接種が推奨されていますので、小学校入学前にも2回目の予防接種を受けておくのが望ましいでしょう。

 

ただ冒頭にも書きましたが、予防接種で防げる疾患ではあるのですが、まれに免疫が上手くついておらずに成人してからも罹患する事があります。

 

ちゃんと予防接種を受けているならほぼ心配はいらないのですが、1回しか接種を受けていない方は、内科などで免疫が正しくついているか検査してもらうと安心でしょう。

 

それから、万が一麻疹患者と接触した場合、自分も感染して発症するケースがあります。

 

接触後3日以内なら「麻疹ワクチン」の接種、6日以内なら「免疫グロブリン製剤」の投与で、発症を阻止または軽減させる事が可能です。

 

この知識もいちおうは念頭に置いておきましょう。

 

以上。麻疹の話でした。

 

麻疹は罹患すると非常に苦しい疾患です。絶対に罹患したくない風邪症候群の筆頭ですから、必ず予防接種を実行しておきましょうね。

まとめ

*麻疹は非常に感染力が強く症状も苦しい疾患。

*麻疹特有のコプリック斑の初期症状を見逃すな。

*麻疹は苦しいが、やみくもに発熱を下げない事。かえって症状がこじれる可能性が。

*一度罹患すれば終生免疫を獲得するが、非常に苦しいので予防接種で防ぐのが無難。

*1歳の誕生日を迎えたら即刻、麻疹風疹混合ワクチンを接種しておこう。

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