新学期も始まり、新緑の清々しい季節ですね。さて、もう少しすると学校において「水泳」の授業が始まります。

 

水泳が苦手な子どもさんも多いと思われますが、夏休みに入ると友達とプールや海などに行く機会も増えるでしょうから、ぜひ頑張って授業に参加しましょう。

 

さて今回の話ですが、毎年夏休みシーズンになると、溺れて亡くなる子どもさんの残念なニュースが絶えませんよね。そこで

 

「海で溺れるのと川で溺れるのとはどちらが命に危険であるか」

 

という話になります。実は、海と川では溺れた際の危険度がまるで違うという事は、あまり知られていません。

 

なので、泳げるようになる事はもちろん大事な事なのですが、それ以前にそういった危険度の知識を持っておく事がとても重要なのです。

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溺れた際の危険度

海と川で溺れた際の危険度として、おそらく大多数の方は「海で溺れる方が命に危険である」という認識を持たれているのではないでしょうか。

 

何せ、深さや広さが川の比ではありませんからね。ところがです。実際に溺れた際に命の危機が高いのは海ではないのですよ。

川で溺れる方が危険である

結論から言いますと

 

「川で溺れる方が圧倒的に生命に危険」

 

なのです。皆さまよくニュース報道等を思い出してほしいのですが、川や池などの河川で溺れて亡くなったというニュース報道の方が圧倒的に多いでしょう。

 

何でだろうと不思議に思った事がないでしょうか。なぜ川で溺れる方が危険なのか、それは河川で溺れると

 

「血液が破壊(溶血)される」

 

からなのです。血液は生命の根幹をなす重要な組織ですから、これが破壊されるという事がいかに重大な事態であるかは想像に難くないと思います。

 

では、どうして同じ水でありながら、川で溺れた時の方が血液が破壊されるのでしょうか。

低張液で赤血球が破壊される

川で溺れた際になぜ血液が破壊されるのか。その答えは

 

「水の濃度」

 

にあります。つまり、水の濃さによって血液が「溶血(ようけつ)=破壊」されるかどうかが決まるのです。この原理について、以下説明しましょう。

 

あなたは、高校の理科の授業で行う、「低張液」とか「高張液」とか呼ばれる液体に「赤血球」を投入する実験を覚えておられるでしょうか。

 

「低張液(ていちょうえき)」とは、「ある液体よりも濃度が薄い液体」の事。

 

「高張液(こうちょうえき)」とは、「ある液体よりも濃度が濃い液体」の事。

 

そして「赤血球」とは、血液成分の大多数を占める「血液の本体(赤い)部分」を指します。

 

それで、赤血球内部の液体濃度は「0.9%」なのですが、例えばその実験で何が分かるかと言うと

 

赤血球を「0.9%よりも濃い液体(高張液)」に入れると、液体は「薄い方から濃い方へ流れる」ので、赤血球は高張液の方へ移動して萎んでしまいます。

 

ただしその際、赤血球自体が壊れる事までには至らず、また0.9%濃度の液体に戻してやると元の形状へ復活してしまいます。

 

ところが赤血球を「0.9%よりも薄い液体(低張液)」に入れると、逆に低張液から赤血球内部の方へ液体が移動してくるので、やがて赤血球は「ポン」と破裂してしまいます。

 

つまり破裂するという事は「もう元に戻らない」という事になりますから、赤血球が破壊されるという事は、血液本体が破壊されるに等しいと言えるのです。

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海の水は高張液で川の水は低張液

海水の濃度はだいたい「1.2%」ぐらいと言われています。これは、赤血球の「0.9%」に比べると高張液であると言えますね。

 

河川は真水ですから、少なくとも「0.9%」よりはかなり濃度が低いです。よって、赤血球の「0.9%」に比べると低張液であると言えます。という事は

 

「海水をたくさん飲んでも、一時的に赤血球は萎むけど破壊はされない」

 

ので、直ちに生命の危機という事態には陥らないわけです。反対に

 

「河川の水をたくさん飲むと、赤血球が破壊されるので直ちに生命に危機が及ぶ」

 

という事態に陥るのです。これが、「海で溺れるよりも川や池の方が危ない」理由なのですね。

 

溺れるというと「窒息」により亡くなるイメージを持たれている方も多いのですが、実際には、このような理由から「多臓器不全」に陥って亡くなるケースも多いのです。

 

この事実をぜひとも覚えておいていただきたいと思います。

 

以上。海と川ではどちらが溺れると命に危険かという話でした。

 

今回の記事は少し難しい内容でしたが、ご理解いただけたでしょうか。

 

遠い昔は、学校の水泳の授業を「河川」で行っていた時代もあったと聞いていますが、今思えばよく大きな事故につながらなかったものだと思います。

 

よほど教師の指導や監督が行き届いていたのでしょう。

 

しかし上記のような理由から、実際には「川や池で泳ぐのは非常にリスクが高い」という事がお分かりになるのではないかと思います。

 

これから夏の時期が近づいてくると、子どもたちはどうしても身近な川や池で遊ぶ機会が増えてくるものです。

 

今一度、ご家庭に置かれてもこのような指導を行っていただき、不幸な事態が起こらないように親子で知識を共有しておいてほしいと願っています。

まとめ

*海よりも川で溺れる方が危険である。

*なぜ危険かというと、赤血球(血液本体)が破壊されてしまうから。

*海水は高張液なので、赤血球は変形するが破壊には至らない。

*川水は低張液なので、赤血球が破壊されて元には戻らない。

*血液は生命維持の根幹をなす。血液の破壊(溶血)は致命的である。

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