今回からは「下肢」の痛みについて記事を書いてゆく事にします。まずは手始めに

 

「股関節の痛み」

 

から記事を書いてゆきましょう。股関節の痛みは青壮年にはあまり関係はありませんが、高齢者や一部の小児ではかなり関係が深い痛みです。

 

高齢者やお子様が身近におられる方は、今回の内容をよく頭に入れておいて頂きたいと思います。

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股関節の痛みの種類

股関節の痛みには、大きく分けて5種類の痛みがあります。

変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)

これが臨床上もっとも多く見られる股関節の疾患で、主に中年から高齢者に多発する疾患です。

 

40歳代ぐらいからぼちぼち発症する人が現れ、60歳代から70歳代で発症のピークを迎えます。

 

「股の前面や側面が痛んで歩行に困難をきたす」疾患で、酷くなると、「跛行(はこう)」と言って脚をひきずるような歩き方となるケースもあります。

 

変形性股関節症とは、股関節の軟骨が摩耗して変形することによって、周りの筋肉や靭帯が障害をうける事で発症します。

 

ごく初期のうちから鎮痛剤や筋肉弛緩剤などを服用して炎症を抑え、筋肉をほぐすと同時にリハビリにて強さや柔軟性を養ってゆく必要があります。

 

リハビリ上の注意点としては、適度に歩く分には良いのですが、段差を無理して歩いたり階段の昇降をくりかえすような行為は避けた方が良いでしょう。

 

また、中高年の方がよく行う「草取り」作業もかなり患部に負担がかかりますので、できるだけ行わない方が無難ですね。

 

そういう感じで、薬とリハビリと日常生活の改善を組み合わせながら、出来るだけ症状を進行させないように努力を継続してゆく事が大切です。

 

それでも、どうしても痛みが強くなってきて日常生活に著しい支障が出始めた時には、「手術」の適用を検討する事となります。

 

近年では、股関節の手術自体の成績はとても良好であり、ほとんどの方が「手術をして良かった」と言われています。

 

ただし、生体に異物を挿入する行為は決して好ましい行為ではありません。できる限り手術を回避できるようにぜひとも努力したいものです。

大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)

大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)は、ほとんどが高齢者の女性に多発する疾患です。

 

自転車で転倒した際、段差につまづいてコケた際、自宅でつまづいて尻もちをついた際などに、大腿骨の頚部(細くなっている部分)が折れて発生します。

 

発症すると、股関節周りの強い腫れと痛みで「歩行がまったく困難な状態」となる疾患で、原則として「手術の適用」となります。

 

3か月程度は入院する必要がありますが、そのまま寝たきりになる方も居られますので、寝たきりにならないように早期からリハビリを開始する事が重要です。

 

また、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)という食べカスなどが肺に侵入して起こる肺炎もよく併発しますので、それを防ぐ意味でも「寝たきり」にならない努力が求められます。

先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)

先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)とは、「出生時に股関節が脱臼した状態で生まれてくる」病態です。

 

圧倒的に女児に多く発生し、わが国では「約1000人に1人」の割合でこの疾患の発症が見られます。

 

現在は産科にて生誕時にちゃんと検査をしてくれるのですが、昔は生誕時に気付かれずに、そのまま小児期まで成長してしまうケースも多かったと聞きます。

 

オムツを替える際に激しく泣く、なかなか上手く歩けるようにならない、歩く際に左右に体がブレながら歩くなど、そういった異変から発見に至るケースが多かったようですね。

 

乳児期に発見できた場合には、「リーメンビューゲル」という装具を用いて自然矯正してゆく方法が一般的です。

 

幼児期に至ってようやく発見された場合や、乳児期の装具矯正が上手く行かなかった場合には、「手術」適用となる事が多いでしょう。

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特発性大腿骨頭無腐性壊死(とくはつせいだいたいこっとうむふせいえし)

聞きなれない病名だと思いますが、この疾患は「大腿骨の頭部の血流が途絶えて骨の組織が傷んでしまう」疾患です。

 

安静時の痛みはそれほど強くありませんが、歩行時の痛みがとても強く出てきます。

 

主に成人男性に発症が見られ、アルコールを多飲する方、治療でステロイド薬を長期に服用している方、潜水する仕事に従事されている方などによく見られます。

 

特別な治療法はありませんが、長期間装具などで体重の負荷を助けてあげると、自然に軽快してゆくケースもあります。

 

ただその一方で、徐々に進行してゆくケースも多く、末期には「変形性股関節症」の状態となる方も居られます。残念ながらその場合は「手術」の適用です。

化膿性股関節炎(かのうせいこかんせつえん)

これは乳幼児や小児にまれに見られる疾患で、「股関節に細菌が感染して炎症を起こし非常に強い痛みが生じる」疾患です。発熱を伴う事が多いのも特徴です。

 

発症は急激で、半日から1日でみるみる症状が増悪するケースが多いです。患者はかなり痛がるのが特徴で、安静にしていてもかなり強く痛みます。

 

急いで「抗生物質治療」や「膿の排出」を行う必要がありますが、あまり知られていない疾患でもある為に、発見が遅れる事があるので要注意です。

 

私の治療院では、過去に1例だけ遭遇した事があります。

 

小学生の女の子でしたが、受診した際にはそれほど強い痛みを訴えてはいなかったのですが、その夜ぐらいから急に発熱と痛みが一気に襲ってきたようでした。

 

翌朝電話にてお母さんからその報告を受けて、私は直ちにこの疾患の存在を思い浮かべ、救急外来への受診を指示しました。

 

その結果、股関節の骨と筋肉に細菌感染を起こしている事が判明し、その後しばらくの入院治療を経て無事に退院されるという経緯を辿られました。

 

この疾患では、治療が遅れたり適正でないと「関節の破壊」が進んでしまい、場合によっては強い後遺症を遺すこともあります。

 

本当にこの疾患の存在を知っておいて良かったと心から思いました。ぜひこのような疾患があるという事も知っておいてくださいね。

何科を受診したら良いか

それでは、こういった股関節の痛みでは何科を受診すべきなのでしょうか。

 

真っ先に受診を検討すべき医療機関としては、以下の3つが考えられるでしょう。

 

「整形外科」

 

「小児外科」

 

「整骨院」

 

次項でさらに詳しく紹介してゆきます。

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整形外科

骨や軟骨やじん帯など、関節のスペシャリストである「医師」が診療を行ってくれる医療機関です。

 

どの痛みでも一度は受診すべきですが、特に「変形性股関節症・大腿骨頚部骨折・特発性大腿骨頭無腐性壊死」が疑われる場合には必ず受診すべきです。

 

基本的には「画像検査・投薬治療・リハビリ治療」などで回復を促してくれますが、あまりにも関節の損傷が強い場合には「手術適用」となるケースもあります。

 

変形性股関節症や大腿骨頚部骨折では、手術にも対応できて症例数が多い整形外科を受診しましょう。

小児外科または小児科

小児外科は、小児の外傷処置や手術のスペシャリストである医師が診療を行ってくれる医療機関です。

 

「先天性股関節脱臼・化膿性股関節炎」が疑われる場合には直ちに受診すべきです。

 

多くは総合病院や大学病院内に設置してありますが、あまり数は多くありませんので、もし不明な時は、かかりつけの小児科があればそちらで指示を仰ぐのも良いでしょう。

 

ただし化膿性股関節炎は症状がかなり強いため、重症の場合には、救急車で救急外来へ搬送してもらう事態も想定しておきましょう。

整骨院

筋肉やじん帯や腱などの軟部組織スペシャリストである「柔道整復師」が施術を行ってくれる医療機関です。

 

「変形性股関節症」が疑われ、かつ「整形外科で重症ではないと診断を受けた」場合に受診すると良いです。

 

医師ではないので、画像検査、投薬治療、手術治療等は行えません。基本的には「手技療法・運動療法・物理(電気)療法」などで回復を促してくれます。

 

軟部組織に関しては医師よりも詳しく勉強している先生も多いですから、整形外科のリハビリ等で改善が見られない場合には、受診してみる価値があるでしょう。

 

以上。股関節の痛みでは何科を受診すべきかという話でした。

 

股関節の痛みは、下肢の痛みの中でも特に対応が難しい部類になります。対応が遅れて後々に後遺症を残す事が多いのも現状です。

 

高齢者やお子さまが身近に居られる方は、ぜひ注意して観察を怠らないようにしていただければと思います。

まとめ

*股関節の痛みには、変形性股関節症・大腿骨頚部骨折・先天性股関節脱臼・特発性大腿骨頭無腐性壊死・化膿性股関節炎等がある。

*股関節の痛みで受診するなら、整形外科・小児外科(小児科)・整骨院が選択肢。

*股関節の痛みは後遺症を残す恐れがある。対応が遅れないように気をつけよう。

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