毎年4月から6月にかけては、「交通事故によるむち打ち」被害に遭われる方が多いです。経験がある方はお分かりでしょうが、むち打ち症は非常に辛いですよね。

 

また交通事故は、「保険会社とのやりとりや交渉・会社を休業することへの影響」など、治療以外にも様々な精神的負担が圧し掛かってきます。

 

そして多くの方が、肉体的負担と精神的負担から一番大事な「一定レベルまで体調を回復させる」という作業を継続できずに、治療からドロップアウトしてしまうのです。

 

その結果、後々まで辛い症状を遺してしまう方がとても多いのが現状です。

 

そこで今回は、万が一交通事故に遭った際にスムーズな解決に至れるように、「絶対に知っておきたい8つの要点」を紹介しましょう。

スポンサードリンク

交通事故は警察へ届け出る義務がある

さて、万が一交通事故に遭ってしまった際ですが、何よりもまず行わなければいけない事は

 

「警察へ連絡する」

 

という事です。これが、意外と連絡されない方がおられるのです。

 

当事者間のみで金銭のやりとりを行い、口頭のみで今後の取り決めなどを行う方が一部におられますが、それは絶対に止めた方が良いです。

 

あとあと必ずトラブルになるからです。

 

「どこまで治療を認めるのか」あるいは「どこまで補償を認めるのか」、こういった点で必ず揉めます。それに、そもそも

 

「交通事故は警察へ届け出る義務がある」

 

のですよ。これは法律で決められているのです。そして大事なことは、届け出を行う義務は

 

「加害者だけでなく被害者にもある」

 

という事です。被害に遭った場合、被害者としては何でも相手が動いてくれると思いがちですが、交通事故では被害者でも積極的な対応が必要となる場面があるのです。

受傷日から2週間以内に医療機関を受診する

交通事故による「むち打ち症」は、後から症状が出てくるケースが圧倒的に多いです。

 

受傷から数日はそれほどでもなかったのに、後から症状が出てきて難儀してしまうケースが非常に多いんですね。

 

そこで慌てて医療機関へ受診する訳ですが、「初診日が受傷日から2週間経過した後」だった場合は、たいていの保険会社で「交通事故との因果関係がない」と言ってきます。

 

そうなると泣き寝入りになる恐れがありますね。ですから大したことがないような症状であっても

 

「受傷日から2週間以内に初診を済ましておく」

 

事が重要なのです。初診の実績があれば、かりに後から症状が増悪してきた場合でも、とりあえずは問題なく通院が可能となります。

警察へ診断書を提出する

初診の際に病院や整骨院から「診断書」が発行されますが、これを「警察へ提出する」事で

 

「人身事故扱い」

 

となります。しかし一部の方では、「相手も故意にぶつけた訳じゃないし可哀想だから」と、診断書を提出するかどうか迷われる方もおられます。

 

確かに「物損事故」よりも「人身事故」の方が相手側の罰則は大きくなりますので、その気持ちもよく理解できます。

 

ただ今までたくさん交通事故の方を診療してきましたが、そういった配慮をしたがゆえに満足な治療を行う事ができず、後々まで痛みに悩んでいる方を散々診てきました。

 

なので医療者としての個人的な意見を述べるならば、よほどの事情がない限りは

 

「警察へ診断書を提出して人身事故扱いにしてもらう」

 

事をおすすめします。その方が、しっかりと継続した治療を受ける事が可能となるからです。

スポンサードリンク

診断は病院でリハビリは整骨院で

いざ治療が始まり通院するようになりますと、「病院か整骨院かどちらか1本に決めてください」と保険会社から言われる事があります。

 

しかし、必ずしも「1本に絞る必要はありません」。どちらにも長所があるので、その両方を上手く活用してゆく事が重要です。

 

病院では「画像検査」や「投薬」が可能という利点があり、整骨院では「詳細なリハビリ施術」が可能という利点があります。そのどちらをも活かせば良いのです。

 

ただし、さすがに毎日両方通院するというのは「過剰な診療」として注意を受ける事があります。よって、どのような通院の仕方が一番良いかと言うと

 

受傷直後、まずは骨などに異常が無いかを「整形外科」で検査してもらう(頭痛等の症状があれば脳神経外科でも診察してもらうと安心)。

 

骨に異常が無ければ、あとは1か月に1回ぐらいのペースで病院へ定期検診に向かう。

 

次に「整骨院」へ行って今後のリハビリ施術をお願いする。

 

整骨院には3日に1回程度通い、おおむね3ヶ月から6か月間は治療に専念する。

 

以上の様な流れが交通事故の治療においては「最も良い流れ」だと実感していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

なおまれにあるのですが、「整骨院は認められないので病院にだけ行ってください」と保険会社が言ってくる事があります。

 

しかしこれに応じる義務はありません。どこの医療機関を受診するかは患者さんの権利であり自由なのです。

 

あなたが病院受診のみで満足できる場合はそれで良いのですが、もし信頼できる整骨院があって通いたいのならば、そこに通う事に何の法的問題もありません。

交通事故の治療費について

基本的にこちら側に「過失がない」か、あるいは「過失が少ない」場合は

 

「相手側の保険会社が治療費を立て替え払い」

 

してくれるので、通常あなたが窓口で施術代を支払う必要はありません。

 

ただし例外もあります。「相手側が自動車任意保険に加入していない場合」や「こちら側の過失が大きかった場合」などです。

 

こういった場合は少し流れが変わってきますので、該当する方はお問い合わせを頂ければお答えいたします。

 

交通事故における治療費は、一般的な健康保険ではなく

 

「自賠責保険などの自動車保険」

 

を使用する事になるのですが、この自賠責保険を使用するに当たってはよく理解しておいて頂きたい点があります。

 

「自賠責保険は健康保険より治療費の単価が高い」

 

のです。そこで一部の保険会社では、「出来るだけ健康保険を使用してください」と言ってくる事があります。

 

また患者さん側も、「自賠責保険しか使えない医療機関は金儲け主義だ」と、大きな勘違いをされている方もたまにおられます。

 

しかし私はあえて言っておきますが、交通事故で治療を受ける際には

 

「できるだけ自賠責保険を使用する」

 

ようにしてください。確かに自賠責保険の単価は高いですから、いっけん経営的には「おいしい」と思われがちです。

 

しかし交通事故に関わる治療とは、以下のような理由から非常に労力を要するものなのです。

 

交通事故は刑事事件であるために、カルテ作成など治療以外の面でも非常に神経を使う。

 

むち打ち症は、慢性化すると大変厄介な「神経障害性疼痛」に移行しやすいので、治療にかなりの集中力と知識が必要となる。

 

  「神経障害性疼痛は何科を受診すべき!?厄介な疾患です!!」

 

場合によっては他の医療機関との連携などが必要なため、その対応に追われる事も日常茶飯事。

 

保険会社からの治療費減額提示や治療部位の削減提示など、見えない所で交渉事に巻き込まれる事が多い。

 

そもそも交通事故の様な第3者行為による負傷には、原則としては健康保険は使えない。

 

こういった点を考慮しますと、自賠責保険の単価で治療費を頂く事はむしろ医療機関としては妥当であり、患者さんにとっても不利益は何もありません。

 

である以上、「保険会社に言われたから」とか「金儲けに利用されたくない」とかの思い込みで、安易に健康保険に切り替えるような事はなさらない方が良いでしょう。

 

せっかくの医療機関との信頼関係を傷つけかねないからです。

 

ただし今私が受け持っている患者さんにもおられますが、やむを得ない事情により「健康保険に切り替える必要がある」方もおられます。

 

そういった場合、当院ではちゃんとお話しして頂ければ最大限の協力はしますし、おそらく他の医療機関でもそうであろうと思います。

 

逆に言えば、誠実に事情を話したにも関わらず「絶対に健康保険では治療しない」という医療機関があれば、それ以上は通院する必要はありません。

 

さっさと話が通じる医療機関へ代わってしまいましょう。

スポンサードリンク

慰謝料や休業損害について

交通事故では、あなたが被った「精神的苦痛」や「肉体的苦痛」に対する

 

「慰謝料」

 

を受け取る事ができます。ちなみに慰謝料の金額は

 

「通院日数に比例します」

 

ので、後々後遺症が残った時のためにも最低「3日に1回」程度通院しておけば、充分な慰謝料を受け取る事ができるでしょう。慰謝料の金額は

 

「¥4200/日」

 

が基本です。これを「全体の治療期間」か「実治療日数×2」のいずれか「少ない」方に乗じます。

 

(例)

1月1日から6月30日までが全体の治療期間とし、実際に通院した日数が60日だったと仮定します。

                     ↓

全体の治療期間=約180日

                     ↓

実治療日数×2=120日

                     ↓

この場合、「180日」と「120日」では「120日の方が少ない」ので

                     ↓

¥4200×120=¥504000

 

というのがあなたが受け取る「慰謝料」という事になります。実際にはここに「過失相殺」が絡んでくるので多少は金額が変動しますが、おおむねこのようになります。

 

また、交通事故による精神的苦痛や肉体的苦痛により仕事を休んだ手当てとして

 

「休業損害」

 

という補償も受けられます。休業損害の金額は

 

「¥5700/日」

 

が原則です。なお、あなたの仕事における1日の収入金額がそれ以上である事を証明できる場合は、最大で

 

「¥19,000/日」

 

まで支給される場合もあります。ちなみによく聞かれる質問への回答でもありますが

 

「主婦や学生でも休業損害は受け取れます」

 

ので、例えば痛みの為に「しばらく寝込んでいたので家事が行えなかった」などの理由がある場合は、主婦の方でも休業損害を請求する事が可能です。

 

このあたりの交渉に関しては、後述する「弁護士」に任せるのが得策でしょう。

スポンサードリンク

弁護士特約を付けているなら迷わず使う

最近の「自動車任意保険」では、オプションとして

 

「弁護士特約」

 

がつけられるケースも多いのですが、もしあなたの自動車保険に弁護士特約が付いているのならば、迷わず使うべきです。

 

弁護士に交渉を委任するメリットとしては以下のような利点があります。

 

弁護士に示談までの手続きを委任する事で、保険会社とのやり取りから解放され、治療だけに専念できる。

 

慰謝料の金額が、弁護士に委任した方が高くなる。

 

弁護士特約を使用しても、翌年以降の保険料には影響がない。

 

ごのように、煩わしい手続きから解放され、慰謝料も多く受け取れ、さらに保険料にも影響しないのですから、使わない手はないと思いますよ。

 

もし弁護士特約に加入しているならば、ぜひ活用を検討してみてくださいね。

痛みを軽くする事を最優先に考える

交通事故による「むち打ち症」では、あまりに痛みをこじらせると非常に厄介な

 

「神経障害性疼痛」

 

に移行する危険性があります(神経障害性疼痛に関しては以下の記事を参照ください)。

 

「神経障害性疼痛は何科を受診すべき!?厄介な疾患です!!」

 

神経障害性疼痛は非常に難治性の痛みで、通常の鎮痛手段がなかなか通用しないので、とても治療が難しい疾患なのです。

 

この「神経障害性疼痛の発症を予防する」のに大切な事はただ1点のみ。すなわち

 

「絶対に痛みを我慢しない事」

 

これに尽きます。特に「安静にしていても痛む」ような強い痛みに対しては、迷わず「鎮痛剤」なども使用しながら「痛みを軽減する事に集中」してください。

 

「痛み止めなんて一時しのぎでしょう」などと、悠長な事を言っていてはいけませんよ。

 

後々後悔しない為にも、「強い痛みに対しては鎮痛剤を服用してでも痛みを弱める」という事を、決して忘れないようにしておいてくださいね。

 

以上。交通事故の際に知っておきたい要点について話しました。

 

まだまだ交通事故に関しては話しておきたい事がたくさんあるのですが、まず今回の内容を知っておいて頂くだけでも、必ずあなたの利益になるはずです。

 

少々むつかしい内容だとは思いますが、何度も読んでいただき理解を深めて頂ければと思います。

まとめ

*交通事故では、必ず警察に連絡を入れる義務がある。

*受傷日から2週間以内には初診を済ませておく事。

*診断書を警察へ提出して、人身事故扱いにしてもらう方が良い。

*診断や薬は病院で、日々のリハビリは整骨院で。

*治療には、出来る限り自賠責保険を使用する方が良い。

*慰謝料と休業損害の権利を知っておこう。

*弁護士特約を活用した方がすべてスムーズに行く。

*強い痛みは決して我慢してはいけない。鎮痛剤なども上手に併用すべし。

スポンサードリンク