前々回は「テニス肘」、前回は「野球肘」と
肘についての記事を紹介してきました。

 

簡単におさらいすると、テニス肘では「肘の外側の痛み」、野球肘では「肘の内側の痛み」が起こるのでしたね。

 

それを踏まえまして今回の記事なのですが、実はちと厄介な疾患の紹介になりまして、それは何かと言うと

 

「離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)」

 

という、テニス肘の症状と野球肘の病態が合併したような疾患があるのです。別名

 

「外側型野球肘」

 

とも呼びれています。非常に厄介な疾患ですので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。

 

今回は、そんな「離断性骨軟骨炎」について詳しく記事を書いてみたいと思います。

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離断性骨軟骨炎

あまり聞いた事がない疾患だと思いますが、離断性骨軟骨炎は小学生から中学生に多発する疾患です。イメージとしては

 

「野球肘が重症化したもの」

 

と理解して頂くと良いでしょう。ただ、野球肘とは痛みが出る場所が変わってくるところが少々厄介なのです。

 

前回も話しましたように、「野球肘では肘の内側が痛くなる」のが主な症状なのですが、この離断性骨軟骨炎では

 

「肘の外側が痛くなる」

 

のです。よって、「肘の外側が痛くなるテニス肘との鑑別」がとても重要になります。慣れない医療機関だと、つい「テニス肘」として処理してしまいがちなのです。

 

この疾患は、筋肉や腱の損傷ではなく「軟骨の損傷」なので、慎重に取り扱う必要があります。必ずスポーツに精通した医師に診察してもらうべきです。

 

私もそうなのですが、「野球を習っている子どもを持つ」親ならば、絶対に知っておきたい疾患だと言えますね。

 

「通常の野球肘は、筋腱の損傷が原因で肘の内側が痛くなる」

 

「重症の野球肘は、軟骨の損傷が原因で肘の外側が痛くなる」

 

そのように、同じ野球肘でも場合によっては症状の出方が違うという事を、ぜひ覚えておいて頂きたいと思います。

 

通常の野球肘についてもよく勉強しておきましょう。詳しくは以下のリンクよりどうぞ。

 

「肘の内側が痛いのは野球肘の可能性が!その原因と治し方!!」

離断性骨軟骨炎の原因

基本的な原因は野球肘と同じです。ただ、筋腱の損傷で止まらずに、軟骨の損傷にまで至ってしまうのがこの疾患です。

 

具体的には、肘の関節近辺にある

 

「上腕骨小頭(じょうわんこつしょうとう)」

 

という部分の軟骨が損傷を起こします。子どもは軟骨部分が多いために、また成長期で関節の変化が激しいために、時にこのような疾患に至ってしまうと考えられます。

 

もちろん、投球回数の多さや過度の送球訓練などの影響がある事は言うまでもありません。

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離断性骨軟骨炎の特徴的症状

この疾患でとても怖いのは、軟骨の損傷が進行すると、ある特徴的な症状が発生する事なのです。

ロッキング

離断性骨軟骨炎の特徴的な症状として

 

「ロッキング」

 

というものがあります。ロッキングとは、「剥がれた軟骨が関節の隙間にはさまり、強い痛みで肘が曲げも伸ばしも出来なくなる」という症状を指します。

 

かなり痛みが強いので、スポーツはおろか日常生活にも非常に強い影響を及ぼしてしまうのです。

関節ネズミ

さらに、ロッキングがもっと酷くなると

 

「関節ネズミ」

 

と呼ばれる症状に移行する事もあります。これは、「剥がれた軟骨が膨張して関節内を回遊し、ロッキング以上に肘の強い運動制限を引き起こす」症状の事です。

 

この症状がある場合は、原則的に「手術によって軟骨を除去する」必要があります。

 

よくプロ野球選手が「肘の手術」を受けていますが、たいていはこの「関節ネズミ」を除去する手術を受けているのです。

 

この状態まで行ってしまうと、なかなか元のコンディションまで戻すのが大変になりますので、ここまで至る前に対策を打つのが上策です。

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離断性骨軟骨炎の治療

この疾患では「絶対安静」こそが最良の治療となります。特に

 

「原因となっているスポーツは完全休止」

 

しなくてはなりません。中途半端に使いながら治療すると、あとあと肘が使いものにならなくなる恐れがあるからです。

 

程度によって安静の期間は変わりますが、最低でも「1か月」、長ければ「半年」程度かかるケースもまれにあります。

 

スポーツを休止する事は子どもにとって苦渋の決断でしょうが、将来のことを考えれば、心を鬼にして親がストップをかけなければなりません。

 

「休むことも治療」

 

「休んでいる間に下半身を強化する」

 

など、休むことの大切さや視点を変えてあげる作業を親子で行いましょう。

 

ただし、全く練習に参加してはいけないという事ではありません。患部側の腕さえ使わなければ、反対の腕で出来る練習などに取り組むのは問題ありません。

 

完全に休むと子どもの心も折れやすいかもしれないので、別メニューに取り組みながら練習自体には参加する、という選択肢が良いのではないかと思います。

 

以上。離断性骨軟骨炎の話しでした。

 

この疾患は、個人的な感覚で言うと、小学5年生から中学2年生あたりの子どもに多いように感じています。

 

その年齢ぐらいで野球に打ち込まれているお子様をお持ちの方は、日頃から子どもが肘の痛みを訴えていないかを、注意深く観察してあげてくださいね。

まとめ

*離断性骨軟骨炎は、野球肘が重症化したもの。

*通常の野球肘は内側の痛みだが、この疾患では肘の外側が痛くなる。

*テニス肘との鑑別に注意する。

*軟骨の損傷なので、より取扱いに注意する必要がある。

*ロッキングや関節ネズミなどの特徴的な症状に留意する。

*絶対安静こそが最良の治療法。特にスポーツは完全休止する事。

*ただし、患部に負担がかからない運動などは大丈夫。

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