中高年世代に入ってくると

 

「手がしびれて力が入らない」

 

という症状を訴える方が増えてきますね。特に60歳ぐらいからは、急激に増えて来る症状の1つでもあります。

 

さて、そんな「手の指先がしびれて力が入らない」という症状の原因はいくつか考えられますが、もっとも臨床上よく見られる原因疾患が

 

「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」

 

という疾患です。今回は、その「手根管症候群」について勉強して行く事にしましょう。

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手根管症候群

手がしびれると訴えて病院へ行くと、「首の検査をしましょう」と言われて診察を受ける事が多いのですが、「手首を検査しましょう」と言われる事はあまりありませんね。

 

確かに「胸郭出口症候群」などの頚部疾患では、手や指先にしびれや痛みを生ずる事が有りますが、それ以上に原因として多いのが、この「手根管症候群」なのですよ。

 

手首の中央には

 

「屈筋支帯(くっきんしたい)」

 

というトンネル状の筋肉組織があるのですが、その中を種々の血管や神経が通り抜けています。その中でも

 

「正中神経(せいちゅうしんけい)」

 

という、腕の中央を下ってくる神経が屈筋支帯で締めつけられる現象の事を、手根管症候群と呼んでいます。

 

「腕を上げるとしびれや痛みが!それ胸郭出口症候群かも!?」

手根管症候群の症状

手根管症候群は、腕などを酷使する作業に従事されている方、交通事故などの外傷、あるいは妊娠によるホルモンの影響などによって発症します。

 

そのメインとなる症状は

 

「親指・人差し指・中指・薬指のしびれや痛み」

 

です。特に強いのは「親指と人差し指のしびれ」ですね。「痛みは我慢できるけどしびれが我慢できない」と訴えて来院される方が大半です。

 

さらに症状が進行して行くと、親指(腹側)の付け根のポッコリと盛り上がった

 

「母指球(ぼしきゅう)」

 

という部分の筋肉が委縮して凹んできます。ここまでくると病状はかなり深刻です。

 

母指球が委縮すると指に力が入らなくなるので、「OKサイン」や「物をつまむ動作」のような、指と指を近づける作業が困難になります。

 

そのうち、「洋服のボタンを留める作業」や「小銭を選別する作業」などにも難儀するようになり、かなり日常生活に支障がでるようになるのです。

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手根管症候群の治療

手根管症候群の治し方は、固定やストレッチなどの「リハビリ」治療と、「手術」による治療とがあります。

 

このどちらで治療を行ってゆくかの方針は、医療者の間でも判断が分かれるところですが、私の長年の経験では

 

「痛みやしびれがあるけど力は入る」

 

という場合には「リハビリ」で行く事をおすすめします。反対に

 

「痛みやしびれがあって、なおかつ力が入らない」

 

という場合には「手術」をおすすめしています。

固定

手根管症候群はほとんどが腕の酷使で発症しますので、原則として「サポーター」や「装具」を装着して、これ以上患部に負荷がかからないようにしましょう。

 

夜間などの安静時には装着する必要はありませんが、日中の作業時などには出来るだけ装着して患部を休ませましょう。

 

手首用のサポーターが良いのですが、どの種類が良いかは患者さんによって変わりますので、お近くの「整形外科」や「整骨院」などに相談してみましょう。

ストレッチ

腕の使い過ぎによる血流悪化や筋肉の硬直が引き金になっていますので、それらの原因をストレッチで改善してゆく事も大切です。

 

ただ、やみくもに揉んだり動かせば良いというものではありません。いかに「緊張を緩める」かという視点が大事なのです。

 

以下の動画が大変参考になります。ちなみに、動画の先生は私ではありませんので悪しからず。

 

温める

上でも書いたように、基本的には「手首を温めて」血流を良くする方が早く改善します。

 

温め方はどんな方法でも良いですが、私のおすすめは「お灸」です。初心者の方は、まず以下のようなレギュラータイプから使い始めてみると良いでしょう。

 

千年灸オフ伊吹(レギュラー) 260点

 

手首の関節(腹側)のところには横一文字に「しわ」が走っていますので、その横線の中央辺りをめがけて温めてみましょう。

 

ピンポイントで温める必要はありません。周辺を押さえながらツーンと響くような場所があれば、その辺りにもお灸を貼るとなお良いでしょう。

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手術

母指球が委縮して力が入らない症状まで進行している場合は、手術に踏み切った方が良いでしょう。

 

もちろん手術なしでも改善してゆくケースもありますが、その場合でも完全に回復させるのはなかなか難しいです。

 

ボタンを留めるのが困難である、字を書くのが困難である、小銭を選別するのが困難である。

 

このような症状になる前に手を打っておくのが大切なのですが、残念ながらここまで進行してしまったら手術もやむなしの場合が多いです。

 

手術経験の多い「整形外科医」に手術をお願いしましょう。

 

 

以上。手根管症候群の話しでした。

 

この疾患は、力が入るうちならばまだリハビリの施しようがありますので、出来るだけ手術のリスクを負わないためにも、異常を感じたら早めに診察を受ける事が大事です。

 

忙しくてつい後回しにしてしまいがちな方が多いので、後で後悔しない為にも早めの対処を心がけてくださいね。

まとめ

*手根管症候群とは、手首の屈筋支帯が締めつけられて指先などに痛みやしびれが起こる疾患。

*重症例では、物がつまめない、字を書けない、ボタンを留めれないなどの症状まで出てくる。

*親指と人差し指が最も障害を受けやすく、酷くなると中指や薬指まで障害が出る。

*母指球が委縮して力が入らなくなるとかなり難しくなる。その前に対策を打つ事。

*リハビリでは、固定、ストレッチ、温熱などを最低でも6か月は頑張ろう。

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