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最近は、ようやくテレビなどでも痛みの原因に迫る特集番組が増えたように思いますが、あなたは

 

「中枢性感作(ちゅうすうせいかんさ)」

 

という言葉を聞かれた事がありますか。おそらくは初耳なのではないでしょうか。

 

「脳や脊髄」の事を「中枢神経」と呼ぶのですが、その中枢神経の中に複雑な痛みの回路が出来てしまう状態の事を「中枢性感作」と言うのです。

 

つまり、患部の状態が良いとか悪いとかには関係なく

 

「脳や脊髄が勝手に痛みを発してしまう」

 

という状態なのですね。老化による痛みは別として、年がら年じゅう体のあちこちが痛いと言っておられる「慢性痛」の方が居られます。

 

こういった慢性痛の方々では、実は大なり小なりこの「中枢性感作」の状態が存在すると言われています。

 

中枢性感作はなかなか治療に反応せず、通常の鎮痛手段もあまり上手く行かない為に、非常に厄介な状態なのです。

 

今回は、この「中枢性感作」について勉強してみましょう。

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中枢性感作

中枢性感作とは、「脳や脊髄が痛みに対して異常なほど過敏に反応する状態」を指します。これを簡単な言葉で表現するならば

 

「痛みの悪循環」

 

という表現になろうかと思います。つまり、「痛みが次の新たな痛みを呼ぶ」という悪循環状態ですね。まさに

 

「痛みが原因で痛みが起こる病気」

 

と言ってもよいでしょう。人間の体というのは、痛みという感覚が活性化している状態では他の痛みに対しても過敏な状態となってしまいます。

 

そういう事を繰り返しているうちに、だんだん「脳や脊髄が痛みに対して敏感になってゆく」のですね。

 

そして、最初は1か所だった痛みが数か所に増えたり、やっとその痛みが消えたと思ったらまた別の場所が痛くなったりと

 

「痛みの連鎖反応を引き起こしてゆく」

 

のです。ここに中枢性感作の怖さがあります。

中枢性感作の治療

中枢性感作は診断が容易ではなく、現時点では確実な治療法も確立されていません。それだけに発症すると非常に厄介なのです。

 

ただし、最近ではこの分野の研究も少しずつ進んできてはいます。

 

「中枢神経系に作用する薬剤の発達・向精神薬の有効性・電気刺激による中枢神経系の鎮静化」など様々な治験が試みられており、一定の効果が確認されています。

 

しかし、まだまだ確実と言える状況ではないのが現実です。よって、現状では何よりも「予防が大切」になるのです。

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中枢性感作の予防のために

中枢性感作の発症を防ぐために重要な事はただ1点です。すなわち

 

「痛みを早期に断つかまたは弱める」

 

こと。これが最良で唯一の予防法です。

 

よく、「痛み止めなんて飲んでも一時しのぎでしょう」と言われる患者さんがおられますが、その考えは根底から改めた方が良いです。なぜなら

 

「痛みとの付き合いが長くなるほど中枢性感作への移行リスクは高まる」

 

からです。なので、もしあなたが強い痛みにさらされているとしたら、「迷わず鎮痛剤などによって鎮痛を試みるべき」なのです。

 

その上で、筋肉をほぐしたり関節の可動域を拡げたりと、地道にリハビリなどに取り組んでゆけば良いのです。要は

 

「感覚(痛み)の治療と構造(筋肉や関節)の治療は別々に考える」

 

ことが大切です。そして、そのどちらを優先するかと言われれば、迷わず

 

「痛みの治療を優先する」

 

ことです。痛みと構造は必ずしもリンクしないのです。痛みがあるから構造に問題があるという訳ではないし、構造に問題があるから痛みが出るというものでもありません。

 

この視点をぜひ持っておかれるように強く提言しておきたいと思います。

 

なお、中枢性感作が原因となって生じる「神経障害性疼痛」という怖い疾患がありますが、以下に詳しく書いておりますのでこちらもぜひご一読ください。

 

「神経障害性疼痛は何科を受診すべき!?厄介な疾患です!!」

 

以上。中枢性感作の話でした。

 

現時点では、痛みという感覚を早期に断つ事が怖い中枢性感作を予防するための最良の方法です。

 

痛みを弱める事や止める事に対して、決して迷いや遅れを取ってはならないという事をぜひともご理解頂ければ幸いです。

まとめ

*中枢性感作とは、脳や脊髄などの中枢神経が痛みに異常に敏感になってしまった状態。

*慢性痛の患者さんでは、大なり小なり中枢性感作の状態にあると考えられる。

*中枢性感作の治療法は進歩しているが、確実な治療法はまだ無い。

*中枢性感作は何よりも予防の視点が大事。

*中枢性感作の予防のためには、鎮痛剤などを使用してでも痛みを早期に弱める事が重要。

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