私は現役の治療家として整骨院を運営していますが、患者さんの中には、高校生の子や高校生の子どもを持つ親御さんもたくさん居られます。

 

その中で、「将来整骨院を開業したい」という高校生や「子どもが整骨院になりたいと言ってる」という親御さんから相談を受ける事があるんですね。

 

今回は、そういった相談に対する回答と見解を書いてみたいと思います。

 

私たちが運営している整骨院ですが、整骨院の仕事を行う為に必要になる資格を

 

「柔道整復師(じゅうどうせいふくし)」

 

と呼びます。この資格を取るためにはどのような手順を踏んで行けば良いのでしょうか。難易度は、収入は、将来性は。

 

いろいろな疑問点があるかと思いますが、そういった点について、現役の柔道整復師として出来るだけ詳細に書いてみる事にします。

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柔道整復師とは

柔道整復師は「国家資格」です。国が実施する国家試験を突破して、はじめてその資格が与えられるのです。

 

柔道整復師になるには、まず国が指定する専門学校等で「3年間の学習」を積む必要があります。

 

その後、卒業と同時に「国家試験の受験資格」が与えられますので、そこで国家試験を突破できた後、晴れて「厚生労働大臣」から正式に資格が与えられます。

 柔道整復師の養成学校

大学にも科が設置されていますが、基本的には専門学校で3年間勉強するケースがほとんどです。

 

柔道整復師養成学校一覧

 

入学試験はそれほど難しくはありません。はっきりとは覚えていませんが、生物などの理系科目や英語などの基礎試験と、小論文や面接試験だったと思います。

 

むしろ入ってからが大変です。

 

まず主要教科数が「11教科」あり、その中でも学科と実技両方を学ばなければいけない科目や、柔道の実技を学ぶ必要があったりと、けっこう予想外でした。

 

入ってから「こんなに大変なはずではなかった」と、途中で辞めてゆく人が結局は2ケタぐらいいましたからね。

柔道整復師の国家試験

国家試験の合格率自体は「70%~80%」なので、比較的受かりやすい方の試験だとは思います。

 

ただし、さきほどの11教科をしっかり暗記しなければなりませんので、決して楽に受かるとは思わない方が良いです。具体的には

 

「解剖学・生理学・運動学・病理学・公衆衛生学・一般臨床医学・外科学・整形外科学・リハビリテーション医学・柔道整復理論・関係法規」

 

これら11教科の中から「200問」の基礎問題が出題(マークシート)され、合格ラインは8割の正答率がボーダーと言われています。

 

さらに、その200問とは別に「30問」の必修問題も出題され、この必修問題の正答率が8割を切ったら、たとえ基礎問題が満点でも不合格となります。

 

さらにさらに、近年では養成学校の乱立からどの学校も合格率を高めて学生を呼び込みたいので、卒業前に卒業試験なるものが秘密裏に行われるケースが多いです。

 

私の時は校内卒業試験が「7回」あったと記憶していますが、1度でも落ちてその後補習などの成績も奮わない人は、問答無用で落第や退学に追い込まれていました。

 

学校の都合でふるいにかけられるのはたまったものではありませんが、しかし、普通に真面目にやっていればそのような事にはなりませんので、あまり不安になる必要はありません。

なんで柔道って名称がつくの

別に柔道を行う仕事だからそういう名称がつく訳ではありません。

 

一昔前は現代のように医療が発達しておらず、「骨折や脱臼」などの外傷を医師にしっかりと診てもらえるような時代ではありませんでした。

 

しかし古来より、日本では「柔道や柔術」などの武道が盛んに行われていたこともあり、骨折や脱臼や捻挫(ねんざ)などの外傷が日々絶えなかったのです。

 

そこで一部の柔道家の人たちが、そのような外傷に対応するための技術を少しずつ習得体系化してゆき、それが今日まで発達してきたのです。

 

つまり、柔道家によって体系化された技術がルーツである事から、柔道整復師という名称になったのだと考えられています。

 

ちなみに「整復」という言葉には、元に戻すとか正しい状態へ戻すといった意味合いがあります。

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整骨院と接骨院と整体院の違い

この違いが一般の方にはよく分からないようですね。

 

「整骨院と接骨院」はまったく同じ国家資格です。単に地域によって、昔の名残で接骨院と表記しているところと、現代的に整骨院と表記しているだけの違いです。

 

「整体院」に関してはいわゆる民間資格者の方が施術にあたるところです。

 

医療分野ではなくサービス業に位置付けられますので、医療的な施術や効果を謳うことはできませんし、あくまで慰安的な要素としてなら開業しても良いとされています。

 

しかし実際には、私たちと同じように関節の痛みなどの施術に当たっているところがほとんどで、中にはとても施術が上手な先生もおられます。

 

ただその反面、ほんの短期間勉強しただけで整体院の看板を掲げるような先生もおられるので、医療事故などには注意が必要です。

 

詳しくは以下の記事も参考にされてください。

 

「整骨院と整体院の違いとは?その使い分け方を教えます!!」

柔道整復師の仕事

柔道整復師の業務は「柔道整復師法」によって定義されています。すなわち

 

「捻挫(ねんざ)・打撲・挫傷(肉離れ)の施術および骨折・脱臼の応急処置」

 

が柔道整復師の業務です。捻挫や打撲や挫傷については一定の回復が得られるまで、骨折や脱臼については最初の応急処置のみが認められています。

 

ただし、骨折や脱臼については「医師の同意」があればこの限りではありません。

 

つまり「医師が柔道整復師が施術しても良いよ」と認めれば、継続して骨折や脱臼の施術を行ってゆく事も可能となっています。

 

この同意に関しては必ずしも整形外科医でなくても良いとされ、「医師免許を持っている者」ならば眼科医でも耳鼻科医でも産婦人科医などでも構いません。

 

また、同意は文書でなくとも「口頭での同意でも可」です。

 

施術に関しては、「投薬・画像検査・手術」などの医療行為は一切認められていませんので、基本的には「己の手」による施術のみで患者様の体を診てゆく事になります。

 

しかし、ここが一番魅力的な部分でもあり、患者様からもっとも評価を頂けるところなのです。

 

医師の先生では診ることが出来ない細かな部分に対して、徒手治療のみで向かい合って行く「手当て」という医療行為には、人の温もりというものが感じられます。

 

詳しい検査や大きな外科的治療は行えませんが、それでも、患者さんと親密なコミュニケーションを図りながら共に回復を目指して二人三脚で歩んで行く。

 

そのような真心にあふれている柔道整復師は、これからの厳しい競争社会の中でも、必ず患者様から選ばれ続けてゆくことでしょう。

 

患者さまから直接「ありがとう」と言ってもらえる経験は、なにものにも代えがたい大きな喜びです。

柔道整復師の施術には健康保険が適用

柔道整復師の施術には、「健康保険」などの公的保険をはじめ、「労災保険」や「自賠責保険」などが適用できる事が最大の強みです。

 

病院と同じように健康保険が適用になると、金銭的な負担を軽減できるので、患者さんにとっても非常に利便性があるのですね。

 

ただし、だからといって何でもかんでも「保険が適用できるわけではない」のです。

 

例えば、「単なる疲れやコリ」は健康保険の適用外となりますが、実際にはそういったものでも健康保険適用だと思っておられる患者さまが多いので、正しく説明できる必要があります。

 

また、このあたりの見解が非常にあいまいになっているせいで、一部のメディアで柔道整復師は「肩こりで不正に健康保険診療を行っている」などと報道されるケースがあります。

 

しかし、例えば単なる「肩こり」や「腰痛」と患者さんが思っていても、私たちから診れば、発症の経緯や症状から「捻挫」などに該当するという事例はよくあります。

 

要は、そういった見極めができる診断力を養う事が重要なのです。

 

この患者さんの症状は「健康保険が効かない単なる肩こりや疲労性腰痛」なのか、あるいは「健康保険の適用となる捻挫や打撲の症状」なのか。

 

そういった診断力を養ってゆく事が、これから将来的に健康保険制度が縮小してゆく中においても、ちゃんと生き残っていける柔道整復師の条件となるでしょう。

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柔道整復師の収入

これはほんとうにピンキリです。どこかの病院や整骨院に就職するか、あるいは自分で開業するかで大きく変わります。

 

個人経営の医療機関に勤めるならば、おおよそ「16万~18万円」ぐらいが給料の相場でしょう。ボーナスは出ないところの方が多いと思います。

 

多店舗経営の医療機関に勤めるならば、おおよそ「18万~22万円」ぐらいだと思われます。ある程度ボーナスは期待できるでしょう。

 

どちらに勤めるにしても、個人でリスクを負う必要がない反面、そこの医療機関の規則ややり方に従う必要がありますので、自由度は正直かなり低いです。

 

個人開業だと、私のように1人治療院での収入は「30万~40万円」ぐらいが相場でしょう。ただし、この中から家賃や生活費や開業借入金の返済など、もろもろの支払いが発生します。

 

最初のうちは手元にほとんど残りませんので、そこは覚悟しておきましょう。

 

ただし、頑張り次第では「80万~100万円」ぐらいの収入を上げることも不可能ではありませんので、そういったレベルまで到達出来ればかなり経営は楽になります。

 

また、柔道整復師を雇って複数態勢で開業するならば、「150万~200万円」ぐらいの収入はあがるでしょうが、とうぜん賃金の支払いなどでやはり最初はほとんど残りません。

 

ただし経営手腕が優れていると、徐々にこの2倍から3倍は収入を上げてゆくケースも珍しくありませんので、そこからどんどん多店舗展開してゆく先生もおられますね。

 

何と言っても、開業の面白味は「すべてに自分の思い描く施術が行える」という点です。誰に気兼ねするでもなく、自分の信じた道をひたすら突っ走る事ができるのです。

 

すべてのリスクを自分で背負う必要はありますが、自由度の高さを求める先生にとっては、個人開業ほど面白い仕事はないと思います。

 

個人的には、最初の数年は病院や整骨院で研修を積んでから、その後思い切って開業することをおすすめします。

 

リスクを負う覚悟さえあれば、こんなに面白い仕事は他にありませんよ。人間的にも収入的にも、自分の努力次第で大きく飛翔する事が可能なのです。

業界の展望

健康保険制度の締め付けがかなり厳しくなっていますので、健康保険制度だけに頼ったやり方だけでは、将来的にかなり厳しいでしょう。

 

そこで現在では、多くの整骨院が美容サービスや特殊な治療などの「自費診療」を取り入れ始めており、中には完全に健康保険の取り扱いを止めてしまう先生もおられるほどです。

 

個人的には、せっかく資格を取ったのに健康保険の取り扱いを止めてしまうのはもったいないとは思いますが、やはりこういった流れは今後も大きくなるでしょう。

 

従来のような「安くて早くて気軽に行ける」というやり方を脱却し、どのようにオリジナリティに溢れた整骨院を創り上げるかが、今後の生き残りをかけたうえで重要になるのだと思います。

 

自費診療を取り入れても患者様が納得されるような、「技術・サービス・コミュニケーション力」の獲得に力を注いでゆく事が、今後の業界発展に求められる要素でしょうね。

 

以上。柔道整復師の仕事内容についての話しでした。

 

柔道整復師は毎年約10000人ほどが誕生し続けており、そのうち1割の先生はすぐに開業しているというデータがあります。

 

これからの時代ますます互いの競争は激しくなるでしょうが、良きライバルとして技術やサービスを高めあいながら、患者さまにより良い医療を提供してゆけたらと思います。

 

私のライバルたち・・・「出て来いや~」(笑)。

まとめ

*柔道整復師は国家資格。

*柔道整復師になるには、専門学校等で3年間勉強する必要がある。

*国家試験に合格して後、厚生労働大臣より正式に免許が与えられる。

*病院があまりない時代に、柔道家たちによって体系づくられた技術が発祥。

*整骨院や接骨院は国家資格。整体院は民間資格。

*捻挫、打撲、挫傷の回復に当たるのが柔道整復師の主な仕事。

*健康保険、労災保険、自賠責保険などを使用できるのが強みだが、将来的には保険制度の崩壊リスクも。

*収入は勤務か開業かで大きく変わる。どうせやるなら、リスクは負うが自由度の高い開業がおすすめ。

*自費診療でも患者さまを納得させられる、技術やサービスやコミュニケーション力を高めろ。

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