長い間治療家をしていますと、患者さんのいろいろな悩みに直面します。その中でも、実はけっこうな数の相談をいただくのが

 

「顔面の痛み」

 

についての悩みなんです。この顔面の痛みですが、決して甘く見てはいけませんよ。さまざまな病気のサインとなることが多いですからね。

 

今回は、顔が痛む際にはどんな疾患が考えられるのか。また、どんな医療機関へかかれば良いのか。そういった点について考えてみましょう。

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顔の痛みの種類

顔が痛む際に考えられる疾患はかなり多岐に渡ります。幅広い分野の病名が出てきますが、ぜひ最後までお読みいただければと思います。

顎関節症

「顎関節の異常」により、食事の際やあくびの際などに痛みを感じる疾患です。多くは筋肉性のものですが、一部には骨性やじん帯性のものもあります。

 

顎関節は男性よりも女性の方が構造上のハマりが浅いため、多くは女性に訴えが多いのも特徴で、痛みは耳の前あたりや顎の角あたりに出やすいです。

 

筋肉を緩める治療や矯正治療などで改善するケースが多いのですが、重症になると、マウスピースをはめる治療や手術が選択肢となるケースもあります。

虫歯

これも意外に多いですね。「虫歯」などの歯科疾患が進行すると、奥からにじんでくるような痛みが、上あごや下あご周辺に出やすいです。

 

また歯の根っこに膿がたまる病気もありますが、この場合もかなり痛みます。

 

顎関節症との見分け方は、顎を動かす時だけに痛むなら顎関節症で、顎を動かしていないのに痛むなら歯科疾患と考えて良いでしょう。

 

歯科疾患では痛み以外にも「口臭」などが起こってくるので、そういった症状が気になる場合には早めに歯科医師の診察を受けましょう。

副鼻腔炎

風邪の後から発症する「急性副鼻腔炎」や、副鼻腔炎が慢性化した「蓄膿症」でも、鼻の周辺や額のあたりに重たい痛みが出ます。

 

色がついた鼻水が出る、鼻の奥から嫌な匂いがする、鼻息がくさい、下を向くと痛みが強くなるなどの症状があれば、まずこの疾患を疑いましょう。

 

抗生物質治療が必要になりますが、ちゃんと治しておかないと、どんどん治りにくくなりますので、自己判断で服用を勝手に止めないようにしましょう。

目の疾患

「ドライアイ」や「眼圧異常」など何らかの目の疾患がある場合にも、目の周辺やこめかみあたりが痛くなる事があります。

 

まばたきをすると痛む、視力に異常を感じる、何もしなくても目の奥が痛い、こめかみが頻繁に痛くなるなどの症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

 

なお、目の奥が強烈に痛む「群発頭痛(ぐんぱつずつう)」という疾患もまれにありますので、リンク先の記事もどうぞご覧ください。

脳の疾患

「脳腫瘍」などが存在する場合にも、額やこめかみや目の奥などが痛むことがあります。

 

脳腫瘍の特徴としては、起床時に痛みが出やすいというのがあり、進行すると頭を抱えこむような比較的強めの痛みが出やすいです。

 

ただし、通常の片頭痛緊張型頭痛などでも起床時に痛みが出ますので、ただちに脳腫瘍だと心配する必要はないでしょう。

 

いずれにしろ、こういった症状が気になる場合にはただちに医療機関を受診しましょう。

神経の疾患

代表的な神経痛として「三叉神経痛(さんさしんけいつう)」というものがあります。

 

「額・鼻・顎」の周辺いずれかに、数十秒間の強烈な痛みが走る疾患です。数十秒で痛みはいったん収まりますが、しばらくするとまた強烈に痛むという事を繰り返します。

 

顔をしかめるような強い痛みなので、あまり我慢しているとかなりのストレスとなります。ぜったいに我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。

 

また以前の記事でも書いていますが、「神経障害性疼痛」や「線維筋痛症」などの特異な神経痛でも、顔面や口の中(舌)などに痛みが出やすい事が知られています。

 

三叉神経痛でもないのに、それでもしつこい口腔顔面痛が見られるようならば、そういった疾患も疑う必要があります。

 

神経障害性疼痛や線維筋痛症の治療はただでさえ非常に難しいものです。時間との勝負ですから、早め早めに医療機関を利用しましょう。

帯状疱疹

痛みのランキングで上位に上がってくるのが「帯状疱疹」です。体の左右どちらかに、ピリピリと刺すような痛みや赤い水ぶくれが帯状に発現してくる状態を指します。

 

顔面領域にも非常に発症が多く、目の周り、まぶたの裏、耳の周り、耳の中など、いたるところで発症が見られます。

 

かなり強い痛みが出やすいので、そういった部位が強く痛む場合には、必ず早めに医療機関を受診しましょう。

 

帯状疱疹は、体の中に潜伏していた「水痘(みずぼうそう)・帯状疱疹ウイルス」の活性化によって引き起こされます。

 

早めに直さないと、帯状疱疹後神経痛という厄介な状態に移行する事がありますので、絶対に医療機関を受診するようにしてください。

何科を受診するか

では、こういった顔面領域の痛みがある場合にはどんな医療機関を受診すべきでしょうか。選択肢としては、以下の8つが考えられます。

 

「整形外科」

 

「歯科」

 

「耳鼻科」

 

「眼科」

 

「脳神経外科」

 

「ペインクリニック」

 

「神経内科」

 

「心療内科」

 

次項でさらに詳しく見て行きましょう。

整形外科

関節診療のペシャリストである「医師」が診察を行ってくれる医療機関です。特に「顎関節症」が疑われる場合には早めに受診すべきでしょう。

 

基本的には、「投薬治療・リハビリ治療」などで回復を促してくれます。

歯科

歯科領域のスペシャリストである「歯科医師」が診察を行ってくれる医療機関です。特に、「虫歯」などの歯科疾患が疑われる場合には真っ先に受診すべきでしょう。

 

また、同じ歯科でも「口腔外科」を標榜しているクリニックで「顎関節症」を治療できる場合も多いので、必要に応じて整形外科からスイッチするのも良いでしょう。

耳鼻科

耳や鼻や喉領域のスペシャリストである「医師」が診察を行ってくれる医療機関です。特に、「副鼻腔炎」などの耳鼻科疾患が疑われる場合に真っ先に受診すべきでしょう。

 

基本的には、「投薬治療・点鼻治療」などで回復を促してくれます。

眼科

目の領域のスペシャリストである「医師」が診察を行ってくれる医療機関です。特に、「ドライアイ」などの眼科疾患が疑われる場合には真っ先に受診しましょう。

 

基本的には、「投薬治療・点眼治療」などで回復を促してくれます。よほどの重症ではない限り手術などにはならないでしょう。

脳神経外科

脳や脊髄など中枢神経領域のスペシャリストである「医師」が診察を行ってくれる医療機関です。

 

特に、「群発頭痛・脳腫瘍・三叉神経痛」などが疑われる場合には早めに受診すべきでしょう。

 

基本的には「CT検査・MRI検査」などで頭部や顔面部を診察し、何らかの異常があれば大病院への紹介、異常がなければ投薬治療という流れになります。

 

また、万が一脳腫瘍が見つかれば手術や放射線治療などが選択される事になります。

ペインクリニック

痛みの領域に関するスペシャリストである「医師」が診察を行ってくれる医療機関です。

 

特に、「三叉神経痛・神経障害性疼痛・線維筋痛症」などが疑われる場合で、他の医療機関の治療では痛みが改善しない場合に受診すべきでしょう。

 

基本的には、「投薬治療・ブロック注射」などによって回復を促してくれます。

神経内科

脳や脊髄など中枢神経機能領域のスペシャリストである「医師」が診察を行ってくれる医療機関です。

 

特に「神経障害性疼痛・線維筋痛症」が疑われる場合には真っ先に受診を検討すべきで、基本的には「投薬治療」によって回復を促してくれます。

 

あまりメジャーな診療科ではありませんが、大学病院や大きな総合病院にはたいてい設置してありますので、勇気を出して受診してみましょう。

 

紹介状が必要な場合が多いので、地元のかかりつけ医などに相談して紹介してもらうと良いですね。

心療内科

心身領域のスペシャリストである「医師」が診察を行ってくれる医療機関です。

 

特に「神経障害性疼痛・線維筋痛症」が疑われ、かつペインクリニックや神経内科での治療では痛みが改善しない場合に受診すべきでしょう。

 

基本的には、「投薬治療・カウンセリング」などによって回復を促してくれます。

 

また、口腔顔面痛は心の状態とよくリンクしているので、ある意味ではもっとも受診するのに適しているとも言えます。

 

日頃から精神的ストレスなどが大きいという方は、ペインクリニックや神経内科よりも先に受診しても良いと思います。

 

以上。顔面痛では何科を受診すべきかという話でした。

 

非常に多くの病気や診療科がある事に驚かれたのではないでしょうか。それほど、顔面の痛みとは甘く見れないのです。

 

我慢すればするほど顔面の痛みはより複雑になってゆく事が多いので、ぜひ早めの受診を心がけておいてくださいね。

まとめ

*顔面の痛みには、顎関節症、虫歯、副鼻腔炎、目の疾患、脳の疾患、神経の疾患などがある。

*顔面痛で受診するなら、整形外科、歯科、耳鼻科、眼科、脳神経外科、ペインクリニック、神経内科、心療内科などが選択肢。

*顔面痛は放っておくとどんどん厄介になる。特に早めの受診を心がけましょう。

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