先日、当院の常連患者さんが帯状疱疹に罹患されて非常にお困りだったのですが、あなたは

 

「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」

 

という疾患をご存知でしょうか。昔は「胴巻き(どうまき)」などとも呼ばれ、水疱が体を1周すると亡くなってしまうという迷信が信じられていた時代もありました。

 

帯状疱疹の特徴は、何と言っても「痛い」の一言に尽きます。罹患した経験がある方はよくお分かりになるでしょう。

 

おそらく、あらゆる病気の中で「痛みのTOP5」にランクインしてくるであろうぐらい、非常に痛みが強い事でも有名です。

 

また、帯状疱疹に罹患した方がいる家庭で水ぼうそうにかかった事がない子どもさんなどがいる場合、帯状疱疹から水ぼうそうに感染するという話を聞いた事もありませんか。

 

今回は、そんな「帯状疱疹」と「水ぼうそう」の関係性について考えてみる事にしましょう。

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帯状疱疹

体の左右どちらか一側に、「ビリビリと刺すような痛み・赤い斑点・水ぶくれが帯状に発現してくる」現象の事を「帯状疱疹」といいます。

 

帯状疱疹は、体の中に潜伏していた「水痘・帯状疱疹ウイルス」の活性化によって引き起こされます。

 

この水痘帯状疱疹ウイルスですが、実は2フェイスなんですよ。

 

要は、水ぼうそうと帯状疱疹どちらをも発症させるウイルスであり、子どもの頃は水ぼうそうとして発症し、大人になってからは帯状疱疹として再活動するのです。

 

つまり、水ぼうそうが治癒した後も長い間体内にひっそりと潜伏し続け、成人して後、免疫が低下した隙などを狙って帯状疱疹として再び現れるのですね。

 

発症の好発年齢としては50歳代から70歳代が一番多いですが、近年ではストレス社会の影響もあってか、若い世代での発症もよく見られます。

 

発症部位として一番多いのは「胸部」や「背部」であり、次に多いのが「腹部」や「殿部」です。また、顔面部(目の周りや耳の中)などにできるケースもけっこうあります。

 

通常は生涯のうちに1度のみの発症ですが、免疫が極端に低下している方などでは、ごくまれに2回3回と罹患するケースも報告されています。

 

「水疱瘡は大人からも感染する?2つの顔を持つウイルス!」

帯状疱疹の症状

最初は「赤い斑点」がポツポツ出始めます。また斑点に先駆けて、皮膚のヒリヒリ感や火傷したような皮膚の違和感から始まるケースもあります。

 

その後、斑点がだんだんと膨らんできて強い痛みをともなうようになり、さらに「水ぶくれ」や「ただれ」も生じてきます。この時期がもっとも辛い時期と言えます。

 

最終的には「かさぶた」となってゆきますが、ここまで来てしまえば痛みもかなり落ち着きます。ただし、無理にかさぶたをはがしてはいけませんのでご注意ください。

 

かさぶたが自然に剥がれ落ちてしまうまでの日数としては、個人差もありますがおおよそ「1か月」程度が目安となるでしょう。

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帯状疱疹の治療

帯状疱疹の治療は、「抗ヘルペスウイルス薬」という薬の内服治療や塗り薬治療がメインとなります。

 

また、痛みが強い場合には「鎮痛薬」なども一緒に出されることもありますが、我慢せずに痛みが強い時はしっかりと服用してくださいね。

 

1点だけ気を付けておきたいのが、帯状疱疹は上手く治り切れなかった場合に、「帯状疱疹後神経痛」という厄介な状態へと移行する事があります。

 

つきましては、出された薬は必ず最後まで飲んでください。勝手に増量したり減量したり、あるいは途中で止めたりしては絶対にいけませんよ。

 

帯状疱疹後神経痛はかなり辛い痛みです。「神経障害性疼痛」という種類の難治性の痛みで、非常に対処が難しい痛みなのです。

 

ですから、薬は最後まで必ず服用する事。そして、帯状疱疹の症状が出始めたら直ちに服用を開始する事が重要になります。

 

服用のタイミングが遅くなると、高齢者の方などでは帯状疱疹後神経痛に移行するケースが高いので、この点は要注意ですね。

 

「神経障害性疼痛は何科を受診すべき!?厄介な疾患です!!」

帯状疱疹はうつるのか

冒頭でも書きましたが、「帯状疱疹から水ぼうそうに感染する」という話を聞かれた事がある方も多いでしょう。

 

その両者の関係性について、以下記しておきます。

帯状疱疹から水疱瘡はうつる

水ぼうそうに罹患した事がない子どもさんなどがいる家庭で帯状疱疹患者さんが出た場合、その子どもに水疱瘡として感染するケースはあります。

 

ただし、感染率は約10%程度と報告されており、必ず感染するという事ではありません。また感染した場合でも、通常の水疱瘡よりは軽症である場合が多いです。

 

ちなみにこの感染は「空気感染」ですから、「接触感染」にだけ気をつければ良いというものではないです。

 

万が一このようなケースに該当する場合、子どもに水疱瘡の症状が見られなくても、念のため小児科などで対応を相談してみると良いでしょう。

水疱瘡から帯状疱疹はうつらない

上とは逆のパターンですが、水疱瘡に罹患した患者さんがいる家庭で、他の家族に帯状疱疹としてうつるという事はありません。

 

ただし、たまたま同じタイミングで自分の免疫力が低下していて帯状疱疹を発症する、というケースは考えられます。

 

しかし、水疱瘡から帯状疱疹という感染の流れは原則ありません。

帯状疱疹から帯状疱疹はうつらない

帯状疱疹の発症は、あくまで自分の体のコンディションによって、潜伏していたウイルスが暴れ出すという現象です。

 

よって、他人の帯状疱疹から自分が帯状疱疹をうつされるという事はありません。

 

まとめますと、帯状疱疹から水疱瘡という感染経路はありますが、その逆のパターンや帯状疱疹から帯状疱疹という感染はありません。

 

以上。帯状疱疹と水ぼうそうの関係について話しました。

 

帯状疱疹は、往々にして「呼びかけ」として発症してくる事が多いことをご存知でしょうか。

 

つまり、われわれの生活スタイルや心理状態などが、「何か不具合を起こしかけているよ」というサインとして現れるケースが多いのです。

 

帯状疱疹が出来てしまった方は、かなりのストレスや疲労を溜めている場合が少なくありませんので、これを機会にちょっと立ち止まって一休みしましょうね。

まとめ

*帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる。

*水痘・帯状疱疹ウイルスの感染は、小児では水疱瘡として現れる。

*水疱瘡の後、体内にウイルスは潜伏し続け、成人してから帯状疱疹として現れる事がある。

*帯状疱疹はかなり痛い病気であり、帯状疱疹後神経痛という厄介な状態へ移行する事もある。

*症状に気付いたら直ちに抗ウイルス薬の服用を開始し、必ず最後まで服用すること。

*帯状疱疹から水疱瘡へ感染する事はある。

*水疱瘡から帯状疱疹や、帯状疱疹から帯状疱疹という感染はない。

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