前々回は「マイコプラズマ肺炎」、前回は「細菌性肺炎」と紹介をしてきましたが、今回は特に幼小児に多く発症が見られやすい
「ウイルス性肺炎」
について話してみたいと思います。特に子どもはこれからの季節、風邪などに併発する形で「肺炎」に罹患する子が増加して来ますので要注意です。
子どもの場合は、高齢者とは反対に「ウイルス性肺炎」の方が多く見られ、そのほとんどは風邪などに続発する形で発症してきます。
今回は、そんな「ウイルス性肺炎」の話です。
①ウイルス性肺炎
子供の肺炎は主に「ウイルス性」のものが多いのが特徴です。
原因として多いのは、「インフルエンザウイルス・アデノウイルス・RSウイルス・麻疹(はしか)ウイルス・水痘(水ぼうそう)ウイルス」などです。
中でも特に多いのが、インフルエンザウイルスによって発症する
「インフルエンザ肺炎」
です。まだ免疫力が低い乳幼児や、喘息や鼻炎などの持病がある子どもでは、風邪などで体力が弱っている時に容易に肺炎を併発する事がありますので注意しましょう。
また青年期においても、部活動や勉強疲れなどで心身共に疲労している時などに風邪をひくと、そのまま肺炎へと移行するケースもありますので気をつけてください。
②ウイルス性肺炎の症状
ウイルス性肺炎の症状としては、「しつこい咳・高熱・息苦しさ・頭痛・嘔吐・食欲不振」などが見られます。ただし、高齢者のように全身が衰弱するケースはあまりありません。
咳が落ち着いている時には比較的元気に見えますが、咳の発作などが始まると顔を真っ赤にして苦しがるのも特徴です。
通常の風邪などに引き続いて発症するケースが多い為に、いくら普段は元気な子どもでも、中には重症化して入院治療の対象となる子どももいます。
③ウイルス性肺炎の治療
ウイルス性疾患ですから「抗生物質は無効」です。基本的には各症状への対症療法を行いながら、自然治癒力によって症状が軽快してゆくのを待つことになります。
子どもの場合免疫力は豊富ですから、高齢者のように命に関わるようなケースはほとんどありません。ただし、回復までにかなり時間がかかる事は仕方がありません。
なお例外的に、「インフルエンザ肺炎には抗インフルエンザ薬が有効」です。
早期にインフルエンザへの対処が出来れば、肺炎も早い段階で回復へ向かう事が期待できますので、とにかく早めに内科を受診する事が大切ですね。
④ウイルス性肺炎の予防
風邪を引いた後で二次的に発症するケースが多いので、「風邪を引かないあるいは風邪を長引かせない」観点が大切です。
また呼吸症状が酷い場合には、かかりつけ医に早めに申告して診断や処置を急いでもらいましょう。
なおインフルエンザによる肺炎が最も多いので、予防接種にて「インフルエンザの注射」を打っておけばウイルス性肺炎を予防する上でも有効です。
以上。ウイルス性肺炎についての話しでした。
肺炎は、「日本人の死因第4位」の疾患です。子どもはそこまで重症化する例はあまりありませんが、だからと言って侮る事はできませんよ。
大切な子どもたちを守るためにも、日頃から私たち大人がしっかりと知識や対策を考えておきましょうね。
まとめ
*ウイルス性肺炎は、インフルエンザウイルス、rsウイルス、アデノウイルスなどによるものが多い。
*ウイルス性肺炎の症状は、しつこい咳、高熱、頭痛、嘔吐などが見られる。
*ウイルス性の為に抗生物質は無効。ただし、インフルエンザのみ薬が有効。
*インフルエンザワクチンの接種により、最も多いインフルエンザ肺炎を予防すべし。
*学校が公欠扱いになるかはこちらから確認を。「インフルエンザの出席停止期間!他にはどんな疾患が対象!?」