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中高年以降に多発する肩の痛みの代表選手が「五十肩」でしたね。

 

しかし、だからと言って何でもかんでも「歳だから五十肩だろう」で済ましていると、大変な事になるかもしれませんよ。

 

今回は、そんな五十肩との鑑別が特に重要である

 

「石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)」

 

という疾患について話してゆく事にしましょう。

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石灰沈着性腱板炎

肩には「回旋腱板(かいせんけんばん)」という筋肉の集合体があります。

 

その回旋腱板部分に、「リン酸カルシウム」という成分が沈着して石灰化してしまい、急激な炎症を引き起こす疾患が

 

「石灰沈着性腱板炎」

 

です。沈着した石灰は、当初は粉状の柔らかい状態なのですが、時間の経過と共に石膏のように硬くなってゆき、やがて最終的には破れてしまいます。

 

その破れた石灰は、「肩峰下滑液包」という肩の動きを良くしてくれる組織の中に散らばってゆき、そこで激しい炎症を引き起こすのです。

 

この疾患は、主に中年期の女性や糖尿病患者さんなどによく見受けられる疾患です。

 

 

石灰沈着性腱板炎の症状

症状は、とにかく「強烈な痛み」と「運動障害」がメインです。

 

五十肩の場合は、だんだんと症状が始まりゆっくり進行してゆきますが、石灰沈着性腱板炎の場合は、ある日急激に症状が発現する事がほとんどです。

 

しかも痛みのレベルが桁違いで、痛みの為に肩をほぼ動かすことができず、じっとしていてもかなりの強い痛みを感じます。

 

ほとんどの方が「痛くて夜が一睡も出来かった」と訴えて来院される場合がほとんどですね。

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石灰沈着性腱板炎の治療

五十肩と症状が似ていて見逃されやすい事から、確定診断には「画像検査(X線検査など)」が必須です。

 

X線(レントゲン)検査によって、回旋腱板部分に石灰の沈着が認められたらこの疾患の診断が確定します。

 

また、症状によっては超音波検査やMRI検査など、より詳細な検査を行う必要性がある場合もあります。

 

基本的には「鎮痛剤」や「湿布」での様子見となりますが、あまりに痛みが強い方には「ステロイド注射」などによる鎮痛処置がとられます。

 

また、三角巾などの腕を吊る装具を用いて患部への負荷を軽減し、しばらくは安静にして動かさないようにする事も大切です。

石灰沈着性腱板炎の急性期のポイント1

「じっとしていても痛む」という急性期症状が落ち着くまでは、患部を保護して安静に過ごしましょう。

 

出来るだけ仕事や家事も控え、回復をひたすら待つのが望ましいです。もちろん

 

「患部を温めたりマッサージしてはいけません」

 

よ。急性期に患部を揉んだり温めたりすると、炎症が加速してかえって痛みや運動障害が悪化する可能性があるためです。

 

病院で処方された鎮痛薬などがあれば、最後までしっかりと服用してください。とにかく、まずは強い炎症を抑える事が最重要な時期と考えてください。

石灰沈着性腱板炎の慢性期のポイント2

じっとしていても痛むという症状は落ちついたけど「動かすとまだ鋭い痛み」が走る場合、いちおう急性期は過ぎた可能性がありますが油断はできません。

 

ただし炎症はかなり落ち着いてきているはずですから、少しずつ温めたり動かしたりして、患部の痛みが強くならないか反応をよく確認してください。ただし

 

「患部にマッサージを行うのはまだ控えておきましょう」

 

どっちに転ぶか分からない時期なので、まだこの時期はあまり強い刺激を入れてはいけないのです。

石灰沈着性腱板炎の回復期のポイント3

動かして鋭く痛むという症状が落ち着き、「鈍く痛むかな」ぐらいの状態にまで回復したら、とりあえず回復期へ入ったと判断して良いでしょう。

 

「温めたりリハビリ運動を行ったりマッサージも行ったり」

 

して、よりいっそうの回復を促してゆきましょう。これぐらいの時期になりますと、もう回復は目の前まで来ています。

 

ただし、回復期に無理をしてぶり返すケースもあります。重量物の運搬など肩に負荷がかかる作業をする際は、充分注意を払いながら慎重に行ってくださいね。

 

 

以上。石灰沈着性腱板炎の話でした。

 

強烈な肩の痛みを引き起こす石灰沈着性腱板炎は、臨床ではけっこうお目にかかる頻度が高い疾患です。

 

ただあまり有名な疾患ではないゆえに、安易にマッサージを行ったりして悪化する方も多いので、自己判断での治療は絶対にやめておきましょう。

 

この疾患に該当するような症状がある場合には、ただちに医師に診察をお願いしてくださいね。病院の選び方は以下を参考にどうぞ。

 

「肩の痛みは何科に行けば良い!?4つの選択肢から選ぼう!!」

 

こういうレアな疾患の存在を知っておくと、いざという時に早急な鑑別が可能になりますので、今回の記事もぜひ頭に入れておかれてくださいね。

まとめ

*石灰沈着性腱板炎は、回旋腱板にリン酸カルシウムが沈着して石灰化する病態。

*石灰沈着性腱板炎は、強烈な肩の痛みと運動障害を引き起こす。

*急性期は、鋭い痛みが落ち着くまでひたすら安静を順守。温めたりマッサージは厳禁。

*慢性期は、鋭い痛みがおさまり鈍い痛みに変わるまでは安静重視で。ただし温めるのは良い。

*回復期に入って鈍い痛みに落ち着いてきたら、徐々にマッサージ刺激やリハビリ運動を行ってゆく事。

*ツボは「肩の前側の痛みにはH1とH2、横側にはH5とH6、後側にはH3とH4」が有効。詳しくは「井穴刺絡!万病に効くツボ治療決定版!!」を参照。

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